2025年度 (最新) 学院等開講科目 教養科目群 文系教養科目
政治学C
- 開講元
- 文系教養科目
- 担当教員
- 中島 岳志
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 月3-4 (WL1-201(W521)) / 木3-4 (WL1-201(W521))
- クラス
- -
- 科目コード
- LAH.S304
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2025年度
- 開講クォーター
- 2Q
- シラバス更新日
- 2025年3月19日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
近代日本の政治・外交とナショナリズムの関係について講義する。特に精神史の観点を導入し、日本が全体主義へと傾斜して行った過程を論じる。明治国家は「一君万民」をテーゼとし、王政復古による封建制打を目指したが、誕生した政府は一部の番出身者が行政を独占する藩閥政治だった。この体制に対する「第二の維新」を目指す武装闘争・言論闘争が、超国家主義の源流を生み出す。さらに明治後期に入ると、富国強兵・殖産興業といった国家目標に自己同一化できない悩めるエリート青年(煩悶青年)が登場し、新しい精神史の時代を迎える。そして、彼らの中から昭和維新テロ・クーデターを主導する超国家主義者が誕生する。本講義では文学作品や社会現象も分析の対象とすることで、「八紘一宇」というヴィジョンに人々が魅かれて行ったプロセスを論じる。このプロセスを辿ることは、現代日本を相対化することに通じる。講義では、現代社会への視座を意識し、歴史の中から問題の本質を抽出する方法を論じる。
本講義のねらいは3つある。一つ目は、近代日本政治が歩んだ道筋を的確に把握すること。二つ目は日本が全体主義へと傾斜して行ったプロセスを説明できるようになること。三つ目は、超国家主義者となっていった人物の内在的批評を通じて、現代社会と共通する不安の問題を考察すること。この能力を身につけることによって、現代日本の政治を論じる視座を獲得する。
到達目標
本講義を履修することによって以下の能力を修得する。①近代日本政治の歩みを説明できるようになること(特に中国・韓国などの東アジアの同時代人に対して)。②近代日本の精神史を把握することを通じて、全体主義がもつ危い魅力を批判的に相対化できるようになること。③近代日本のナショナリズム・超国家主義・アジア主義を理解することで、現代日本社会の右傾化問題への視座を獲得すること。
キーワード
右傾化 近代 煩悶 超国家主義 アジア主義 テロ クーデター 昭和維新 八紘一宇 戦争
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
講義形式(対面)で行う。毎回レジュメを配布する。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業ガイダンス、イントロ | 講義の全体像とねらいを理解する |
第2回 | 明治維新と近代日本のナショナリズム:西郷隆盛はなぜ自分で作った明治政府を自分で打倒しようとしたのか? | 明治維新の特徴を把握し、明治前期に起きた反政府武装闘争の原因を理解する |
第3回 | ウエスタンインパクトと東アジア:右翼とアジア主義は、なぜ自由民権運動から派生したのか? | 近代東アジアにおける国際秩序の変化を知り、アジア主義誕生の背景を理解する |
第4回 | 近代朝鮮と日本:連帯はなぜ侵略となったのか? | 朝鮮近代史の骨格を理解し、韓国併合に至るプロセスを説明できるようにする |
第5回 | 近代中国と日本:中国ナショナリズムはいかにして誕生したのか? | 中国ナショナリズム生成のプロセスを孫文を中心に理解する |
第6回 | 煩悶と超国家:坂の上にあったのは雲だった | 日露戦争前後に顕在化した若者の煩悶について理解する |
第7回 | 革新の大正:右翼がレーニンを信奉した訳―大川周明論 | 煩悶青年から生まれた革新派の存在を捉え、彼らが右傾化する論理を把握する |
第8回 | 不況・暴力・鬱屈:テロルの幕開け―朝日平吾論 | 第一次大戦後の不況下で起きた政治的テロの論理を内在的に把握する |
第9回 | 満州事変とユートピア:石原莞爾の愛と最終戦争 | 満州事変を引き起こした石原莞爾の宗教思想について理解する |
第10回 | 八紘一宇とイーハトーブ:宮沢賢治「どこまでだっていける切符」 | 石原莞爾と同じ国柱会に属した宮沢賢治の理想について理解する |
第11回 | 昭和維新テロ:血盟団事件と「神秘的な暗殺」 | 1932年に起きた血盟団事件について、その論理と心理を理解する |
第12回 | 言論弾圧:三井甲之と蓑田胸喜の「原理日本」 | 1930年代の言論弾圧事件を引き起こした原理日本グループの論理を把握する |
第13回 | 八紘一宇と世界連邦:下中彌三郎の戦前・戦中・戦後 | 下中彌三郎を通じて、革新主義者が超国家主義者になり平和主義者となる論理を知る |
第14回 | まとめ | まとめ |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
特にない。毎回レジュメを配布する。
参考書、講義資料等
特にない。
成績評価の方法及び基準
第10回目終了時に提出する中間レポート(30%)と、学期末の最終レポート(70%)で評価する。
関連する科目
- LAH.S103 : 政治学A
- LAH.S203 : 政治学B
履修の条件・注意事項
事前に身につけているべき知識はない。ただし中学校卒業レベルの日本史・世界史の知識は必要。
連絡先 (メール、電話番号) ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。
tnakajima[at]ila.titech.ac.jp
オフィスアワー
メールにて事前予約すること。メールにて事前予約すること。
その他
この科目は、人数超過の場合には抽選を実施いたします。初回の授業に必ず出席するようにしてください。