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2025年度 (最新) 学院等開講科目 物質理工学院 応用化学系

応用化学実験第二

開講元
応用化学系
担当教員
村橋 哲郎 / 大河内 美奈 / 髙尾 俊郎 / 大塚 英幸 / 石曽根 隆 / 大友 明 / 久保内 昌敏 / 伊原 学 / 重田 翼 / 佐藤 宏亮 / 高橋 明 / 一二三 遼祐 / 本間 千裕 / 相沢 美帆 / 相馬 拓人 / 菅原 勇貴 / 宮地 輝光 / 齊藤 彰吾 / 森合 達也 / 亀田 恵佑 / 大石 理貴 / 佐々木 遼馬 / 中薗 和子
授業形態
実験等 (対面型)
メディア利用科目
-
曜日・時限
(講義室)
不明
クラス
-
科目コード
CAP.F206
単位数
004
開講時期
2025年度
開講クォーター
3~4Q
シラバス更新日
2025年8月25日
使用言語
日本語

シラバス

授業の目的(ねらい)、概要

[実験の概要] 本実験では、応用化学実験第一(または 応用化学実験第一a/bならびに応用化学実験第一b/a)を履修してきた学生を対象に、化学実験の基本操作を教授し、有機化学、無機化学、分析化学、物理化学に対する理解と実験操作の技量を養う。実践的な化学工業教育の観点から6つのテーマを設定し、実験とレポート作成を通じて学ぶ。「1. アルデヒド・ケトンの判別と求核付加反応」では、代表的な有機金属化合物であるGrignard試薬を用いた反応を学ぶ。「2. ε-カプロラクタムの合成と開環重合」では代表的な合成繊維であるナイロンの製法を学ぶ。「3. アゾ染料の合成と分光分析」では、代表的な合成染料であるアゾ染料の合成と分光分析および繊維の染色について学ぶ。「4. フェライトの合成と組成分析」では、本学で発明され今日でも先端材料として研究されている磁性材料の合成と磁気記録について習得する。「5. 均一触媒反応」では、過酸化水素の分解反応速度の測定と解析を行い、反応速度論の基礎的事項を身につける。「6. 電気伝導度の測定」では、溶液中の電解質の解離度とイオン独立移動の法則について学ぶ。

[実験のねらい] 基礎化学と物質社会のつながりを理解するには、実際に実験を通じて得られた結果を深く考察することが必須である。それには、実験の原理を理解した上で基本操作を確実に習得し、安全に配慮して実験に臨まなければならない。本実験では、まずガイダンスで実施テーマに関する実験の基本事項の要点を学ぶ。その後、6つのテーマを実施しながら基本操作を実践する。テーマ毎に実験レポートを作成し、基本的概念および実験や機器分析の原理などの基礎知識の習得と実践的な思考力を養う。

到達目標

本実験を履修することによって、
(1) 基礎的な実験操作を各テーマの実験目的に応じて適用できる。
(2) 実験の手順や結果、および考察について一般的な実験レポートの形にまとめることができる。
(3) 各テーマに関係した基本概念や測定原理およびその応用について説明できる。
(4) 実験に関する系統的な知識を習得し、安全で生産的な化学実験計画を立案できる。

キーワード

(テーマ1:アルデヒド・ケトンの判別と求核付加反応)求核付加、還元、官能基判別、有機金属化学、ガスクロマトグラフィー
(テーマ2:ε-カプロラクタムの合成と開環重合)オキシム化、ベックマン転位、再結晶、開環重合、6-ナイロン
(テーマ3:アゾ染料の合成と分光分析) アゾ染料、ジアゾ化反応、ジアゾカップリング、ランベルト・ベールの法則、染色、UV/Visスペクトル、繊維(天然・人造高分子)
(テーマ4:フェライトの合成と組成分析)フェライト、エリンガム図、不定比制御、磁化率、熱重量分析、密度測定
(テーマ5:均一触媒反応)反応速度論、均一触媒反応、速度定数、反応次数、アレニウスの式
(テーマ6:電気伝導度の測定)イオン伝導、導電率、電解質、コールラウシュの法則、化学平衡

学生が身につける力

  • 専門力
  • 教養力
  • コミュニケーション力
  • 展開力 (探究力又は設定力)
  • 展開力 (実践力又は解決力)

授業の進め方

本実験では、まず全ての実験の概要について説明を行います。その後、グループに分かれて、3Q、4Qにそれぞれ3つの実験テーマを受講する。3Qでは、 テーマ1:アルデヒド・ケトンの判別と求核置換反応、テーマ2:ε-カプロラクタムの合成と開環重合、およびテーマ5:均一触媒反応 または テーマ6:電気伝導度の測定 の実験をグループ分けに従って順番に進めます。4Qでは、テーマ3: アゾ染料の合成と分光分析、テーマ4:フェライトの合成と組成分析、および テーマ5:均一触媒反応 または テーマ6:電気伝導度の測定 の実験をグループ分けに従って順番に進めます。最後に理解度確認のための演習と解説を実施します。

授業計画・課題

授業計画 課題
第1回

実験概要および実験準備についての説明

実験の概要と基本操作を理解し、予め実験計画をたてることができる。

第2回

アルデヒド・ケトンの判別と求核付加反応①:カルボニル官能基の判別

カルボニル官能基を同定できるようになる

第3回

アルデヒド・ケトンの判別と求核付加反応②:求核付加反応・還元

ヒドリド試薬によるアルコールの合成ができるようになる。

第4回

アルデヒド・ケトンの判別と求核付加反応③:減圧蒸留・化合物分析

減圧蒸留による単離精製と合成物の分析ができるようになる。

第5回

アルデヒド・ケトンの判別と求核付加反応④:求核付加反応・有機金属化学序論

Grignard試薬によるアルコールの合成ができるようになる。

第6回

ε-カプロラクタムの合成と開環重合①:求核付加反応

カルボニル化合物からオキシムの合成ができるようになる。

第7回

ε-カプロラクタムの合成と開環重合②:転位反応

オキシムのベックマン転位によってアミドの合成ができるようになる。

第8回

ε-カプロラクタムの合成と開環重合③:再結晶

モノマーを再結晶により精製できる。

第9回

ε-カプロラクタムの合成と開環重合④:開環重合

開環重合によりナイロン6を合成できる。

第10回

アゾ染料の合成と分光分析①:酸性アゾ染料の合成

ジアゾ化反応およびジアゾカップリングについて説明できる。

第11回

アゾ染料の合成と分光分析②:薄層クロマトグラフィーによる分析と染色試験

生成物の純度評価ができる。繊維の染着機構を説明できる。

第12回

アゾ染料の合成と分光分析③:物性測定(吸光分光測定)

紫外可視分光光度計を使用した測定ができる。

第13回

アゾ染料の合成と分光分析④:物性測定(吸光度解析)

吸光スペクトルから、合成染料の最大吸収波長(λmax)とモル吸光係数(εmax)を決定できる。

第14回

フェライト合成と組成分析①:湿式合成

湿式法により金属酸化物合成ができる

第15回

フェライト合成と組成分析②:乾式合成(不定比制御)

乾式法により金属酸化物合成ができる。

第16回

フェライト合成と組成分析③:組成分析(滴定操作による容量分析、熱重量測定、密度測定)

滴定操作による酸化数の評価ができる。熱重量分析による酸化数の評価ができる。固体の密度測定ができる。

第17回

フェライト合成と組成分析④:物性測定(磁化率測定,磁気記録試験)

磁気記録の仕組みが説明できる。

第18回

均一触媒反応①:反応速度の測定法および溶液の調製

過酸化水素溶液を過マンガン酸カリウム溶液により滴定 できる。

第19回

均一触媒反応②:過酸化水素の分解反応

均一系でのヨウ化カリウムを触媒とする過酸化水素の分解反応機構と速度式の関係、触媒の役割を理解する。

第20回

均一触媒反応③:過酸化水素の分解反応(温度の影響)

均一系でのヨウ化カリウムを触媒とする過酸化水素分解反応速度について、温度変化の効果を明らかにすることができる。

第21回

均一触媒反応④:実験データの解析および考察

実験結果に基づき、過酸化水素の反応速度を解析することができる。

第22回

電気伝導度の測定①:測定法の解説と測定回路の組み立て

ブリッジ回路の組み方とセル定数について理解し、習得する。

第23回

電気伝導度の測定②:強電解質溶液における無限希釈モル伝導度の測定

希薄溶液の調製方法と水溶液の電気抵抗の測定方法を理解し、修得する。

第24回

電気伝導度の測定③:イオン独立移動の法則による無限希釈モル伝導度の考察

無限希釈モル導電率の推定手法を修得し、イオン独立移動の法則を理解することができる。

第25回

電気伝導度の測定④:弱電解質溶液の導電率測定

弱電解質の解離度について理解し、修得する。

第26回

まとめ理解度確認のための演習と解説

演習により総合的な理解度を高め,到達度を自己評価する。

準備学修(事前学修・復習)等についての指示

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね50分を目安に行うこと。

教科書

テキスト『応用化学実験第二 2025年度』応用化学実験委員会編 は生協で販売する。

参考書、講義資料等

化学同人編集部著 『続 実験を安全に行うために―基本操作・基本測定編―』 第4版(化学同人)ISBN: 978-4-7598-1834-5

成績評価の方法及び基準

全出席および全実験履修(レポート等の課題も全て提出)が原則.予習状況を含む実験の取り組み態度,実験レポート提出状況と採点結果により成績を評価する.遅刻や提出遅れを繰り返した場合は不合格とすることがある.

関連する科目

  • CAP.F205 : 応用化学実験第一
  • CAP.B201 : 応用化学実験第一a/b
  • CAP.B202 : 応用化学実験第一b/a
  • CAP.B203 : 応用化学実験第二a/b
  • CAP.B204 : 応用化学実験第二b/a

履修の条件・注意事項

この科目は,「応用化学実験第三」「応用化学実験第四」の「履修前提科目」である。
応用化学実験第一(CAP.205 )または 応用化学実験第一a/b(CAP.B201)と応用化学実験第一b/a(CAP.B202)を履修しているか、それと同等の知識を有していること。

その他

各実験テーマの関連科目
CAP.O201 : 有機化学第1(アルカン・アルケン・アルキン)
CAP.O202 : 有機化学第2(C-X)
CAP.O203 : 有機化学第3(ベンゼン・C-O)
CAP.O204 : 有機化学第4(C=O・C≡N)
CAP.O301 : 合成有機化学(C=O置換・縮合・C-N・環状反応)
CAP.O303 : 機器分析B(有機分子スペクトル解析特論)
CAP.Y202 : 高分子合成1(逐次重合)
CAP.Y203 : 高分子合成2(連鎖重合)
CAP.N202 : 無機化学2(構造・反応)
CAP.N304 : 無機固体化学
CAP.H201 : 物理化学1(熱力学)
CAP.H202 : 物理化学2(化学平衡)
CAP.H203 : 物理化学3(反応速度)
CAP.H301 : 電気化学1(基礎)
CAP.H302 : 電気化学2(応用)