2025年度 (最新) 学院等開講科目 工学院 電気電子系
電気電子インフォマティクスⅠ
- 開講元
- 電気電子系
- 担当教員
- 荒井 慧悟 / 雨宮 智宏
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火7-8 (S2-204(S221)) / 金7-8 (S2-204(S221))
- クラス
- -
- 科目コード
- EEE.M251
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2025年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2025年9月22日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
本科目では、インフォマティクスの基礎概念および数値計算の方法を学ぶ。インフォマティクスの基礎概念は、電気電子系の諸分野の研究を行う上で重要な知識となる。講義と演習を通じて、電気電子の研究で取得するデータ・情報の解析や活用方法、情報数学、計算幾何、計測・分析、機械学習を幅広く理解し身につけることを目的とする。また、インフォマティクス諸分野で汎用言語となっているPythonを修得することで、他の講義、実験、研究などの場面での数値解析への活用もねらいとする。以て、電気電子系の研究に情報科学を取り入れるための視点を養う。
到達目標
本講義を履修することで次の能力を修得する。
1) 情報科学の基礎概念である情報数学、計算幾何、計量と分析の理論の知識を有する。
2) 機械学習の種々の手法を一通り取り扱うことができるようになる。
3) 上記の項目についてPythonを用いて簡単な数値計算を実行できるようになる。
対応する学修到達目標は、
(1) 【専門力】基盤的な専門力
(4) 【展開力】(探究力又は設定力)整理及び分析できる力
(7) 幅広い専門知識を習得し,より高度な専門分野や他分野に自ら学修を広げる力
キーワード
情報数学、計算幾何、計測、機械学習、Python
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
- 電気電子分野の応用専門力
授業の進め方
各回の講義では理解度の向上のため、講義の冒頭に前回の内容に関する簡単な演習および解説を実施する。また、数値計算の実践力を身につけてもらうため、Pythonを用いた演習を織り交ぜて実施する。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 導入 ― 電気電子工学と情報科学 |
理論:科目概要と全体像、電気電子工学と情報科学の接点の理解 |
第2回 | 集合と論理+データ構造 |
理論:集合、命題論理、ブール代数、基本データ構造(リスト、スタック、キュー、木)の理解 |
第3回 | グラフと組合せ |
理論:グラフ理論の基礎(頂点・辺・木・ネットワーク)、順列・組合せの理解 |
第4回 | 確率論の基礎 |
理論:確率変数、分布、期待値・分散、雑音や通信エラーとの関連の理解 |
第5回 | 統計推定とデータ解析 |
理論:推定、検定、回帰分析、測定データ処理や信号解析への応用の理解 |
第6回 | 計算理論と情報理論+アルゴリズム設計 |
理論:計算可能性、計算量、オートマトン、情報量、エントロピー、通信容量の理解 |
第7回 | 情報幾何の基礎 |
理論:確率分布の幾何学的表現、KLダイバージェンス、最尤推定の理解 |
第8回 | 中間試験+機械学習入門 |
理論:機械学習の定義、種類(教師あり/なし/半教師あり)、ワークフローの理解 |
第9回 | 教師あり学習①(回帰) |
理論:線形回帰の数理(最小二乗法)、過学習と汎化性能、評価指標(MSE、R²)の理解 |
第10回 | 教師あり学習②(分類) |
理論:分類の枠組み(2クラス・多クラス)、ロジスティック回帰、k近傍法(kNN)、評価指標(混同行列、精度、再現率、F1スコア)の理解 |
第11回 | 教師あり学習③(ニューラルネットワーク+最適化) |
理論:パーセプトロン、多層NN(MLP)、活性化関数、勾配降下法と最適化の基礎の理解 |
第12回 | 教師なし学習①(クラスタリング) |
理論:クラスタリング(k-means、階層型クラスタリング)、センサデータ分類への応用の理解 |
第13回 | 教師なし学習②(次元削減と特徴抽出) |
理論:PCA、t-SNE、高次元データの特徴表現の理解 |
第14回 | 半教師あり学習と応用 |
理論:半教師あり学習の手法(自己学習、ラベル伝播、擬似ラベル)および応用例(故障診断、異常検知、センサデータ解析)の理解 |
第15回 | まとめと展望+情報セキュリティ基礎 |
理論:情報セキュリティの基礎(公開鍵暗号、ハッシュ、乱数生成)および先端応用(量子情報、AI回路設計、デバイス診断など)の理解 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
特になし
参考書、講義資料等
参考書:「Pythonで動かして学ぶ!あたらしい機械学習の教科書」伊藤真著 翔泳社
成績評価の方法及び基準
情報科学基礎理論および派生分野に関する理解度、Pythonを用いた数値計算への習熟度を評価する。演習(40%)に加えて、理解度・習熟度の確認のため、Pythonを用いた数値計算の中間試験(30%)、期末レポ―ト(30%)により成績を評価する。
関連する科目
- EEE.M221 : 計算アルゴリズムとプログラミング
- EEE.M231 : 応用確率統計
- EEE.S341 : 通信理論(電気電子)
- EEE.S351 : 信号システム
- EEE.M252 : 電気電子インフォマティクスⅡ
履修の条件・注意事項
計算アルゴリズムとプログラミングは必須とするほか、応用確率統計の履修を推奨する。