2021年度 学院等開講科目 理学院 物理学系 物理学コース
物理学特別講義第三十七
- 開講元
- 物理学コース
- 担当教員
- 松本 伸之
- 授業形態
- 講義
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - クラス
- -
- 科目コード
- PHY.P577
- 単位数
- 100
- 開講時期
- 2021年度
- 開講クォーター
- 2Q
- シラバス更新日
- 2025年7月10日
- 使用言語
- 英語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
近年の技術の発展でレーザー干渉計による変位計測の精度は量子限界に迫っており、それに伴い関連分野もまた発展を遂げている。
本講義では特に、干渉計をトランスデューサとして応用する分野(例えば重力波検出器、ダークマター探索)と干渉計の測定結果に基づいた振動子の量子制御について説明する。これらはいずれも、光圧により機械系と光学系が結びついたオプトメカニクス分野の研究である。
1日目に変位計測の基礎を説明し、2日目にオプトメカニクス分野の概要と変位計測との関係を説明する。最終日は量子計測と測定に基づいた振動子の振動モードの量子制御に関して紹介する。振動子の重ね合わせ状態や量子もつれを実現すれば、例えば、巨視系における量子デコヒーレンスを実証し、その理解を深めることが可能となる。プランク質量より十分に重い物体の場合、原理的には重力子の制動放射によるデコヒーレンスも観測可能となる。変位計測によって重力波の直接検出という科学史に残る成果がもたらされたが、変位計測にはさらなる応用の可能性がある。
到達目標
量子計測と測定に基づいた振動子の振動モードの量子制御について理解を深めること。
キーワード
オプトメカにクス 量子制御 微小信号計測
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
ZOOMによる講義
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 講義の目的・全体像 | 講義を聞き、理解すること |
第2回 | 線形変位計測(シャドーセンシング、干渉計、共振器、感度、光検出) | 講義を聞き、理解すること |
第3回 | 物体のブラウン運動と熱雑音(パワースペクトル、揺動散逸定理、散逸の起源、散逸の希薄化) | 講義を聞き、理解すること |
第4回 | 光の量子揺らぎと量子雑音(ハイゼンベルク、標準量子限界、安定化光源) | 講義を聞き、理解すること |
第5回 | 様々な雑音とその対策、そして外乱の観測(地面振動、ガスダンピング、重力波検出) | 講義を聞き、理解すること |
第6回 | 前回のまとめと今日の話の概要 | 講義を聞き、理解すること |
第7回 | 共振器オプトメカニクス(強結合、弱結合、good cavity、bad cavity) | 講義を聞き、理解すること |
第8回 | 共振器オプトメカニクス(パッシブ制御:光ばねと光ねじればね) | 講義を聞き、理解すること |
第9回 | 光共振器と制御(アクティブ制御、ホモダイン測定、PDH法) | 講義を聞き、理解すること |
第10回 | 測定に基づく振動モードの冷却(アクティブ制御、力計測のSN比、実効的温度や散逸の扱い方) | 講義を聞き、理解すること |
第11回 | ここまでのまとめと今日の話の概要 | 講義を聞き、理解すること |
第12回 | 確率過程(確率微分方程式、量子ランジュバン方程式) | 講義を聞き、理解すること |
第13回 | 振動子の量子計測(測定率、デコヒーレンス率、量子協同性、非対称スペクトル) | 講義を聞き、理解すること |
第14回 | 振動子の量子推定(ウィーナフィルタ、スクイーズ、エンタングルメント、条件付き確率) | 講義を聞き、理解すること |
第15回 | 振動子の量子制御(カルマンフィルタ、基底状態、量子軌跡) | 講義を聞き、理解すること |
第16回 | 量子振動子の応用(トランスデューサ(重力波、ダークマター、重力定数)、それ以外(重力子の探索、重力の量子性検証)) | 講義を聞き、理解すること |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
特にない
教科書
特にない
参考書、講義資料等
特にない
成績評価の方法及び基準
講義中に伝える
関連する科目
- PHY.G230 : 現代物理学概論
履修の条件・注意事項
特にない