2026年度 (最新) 学院等開講科目 教養科目群 文系教養科目
歴史学C
- 開講元
- 文系教養科目
- 担当教員
- 澤井 勇海
- 授業形態
- 講義
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - クラス
- -
- 科目コード
- LAH.H305
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2026年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2026年3月5日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
【テーマ】近世・近代日本の史料を読む
本講義では、講義形式と演習形式を組み合わせ、近世・近代日本の史料をともに読解する。今回はとくに幕末の対外関係をテーマとし、幕府の大老・井伊直弼や外国奉行・井上清直に関する史料を中心とする。
現在私たちが触れる現代日本語で公的な文章が書かれるようになったのは戦後以降であり、戦前は近代文語文(とりわけ漢文訓読体)で書かれていた。他方で、文語文の一種として古くから候文と呼ばれる型式があり、とりわけ江戸時代には公私に広く普及する一方、明治以降も書簡などに用いられる文体として戦前まで用いられていた。また、ペンや活字が発達する以前は一般に毛筆が用いられていたため、楷書体以外の字体(草書など)を用いて文章が書かれることが多く、これはくずし字と呼ばれていた。
現代日本を生きる人々は、一般に現代日本語のみ理解できる者が多いが、これは戦前以前の日本語話者の記憶や知性にまるごとアクセスできないことを意味する。17-18世紀頃の文章まで現代英語の文法知識で一定程度まで読むことができる英語などと比べれば、大きなディスアドバンテージとなっていると言える。近年ではデータベースやAIなどの発展もあり、以前よりは戦前以前の知もオープンになりつつあるが、とくにくずし字の読解などは(少なくとも現時点では)まだ十分に実用可能となっているとは言い難い部分もある。
本講義では、講義と輪読というある種古典的な教育手法を通じて、1945年より前の日本の知の集積に分け入ることを試みる。本講義を受講すると、今まで読めずに埃をかぶっていた、実家の蔵に眠る秘密の古文書などが自在に読めるようになる、かもしれない。
(扱う予定の史料については、「参考書、講義資料等」の項目を参照のこと)
到達目標
①近代文語文や候文の文法、語彙、定型表現を理解し、戦前以前の文章を読むことができるようになる。
②辞書やデータベース、アプリなどを用いながら、くずし字を解読する方法について理解する。
③戦前以前の文章の読解やくずし字解読の手法を体験することを通じ、戦前以前の知の集積の一端を窺い知る。
キーワード
歴史学、日本史、史料、近代文語文、候文、くずし字
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
近代文語文、候文(翻刻)ついては、まず講義形式で文法や語彙、定型表現を説明し、その後2回または3回、演習形式で指定した史料を輪読する。くずし字については、まず講義形式で辞書やデータベース、アプリなどを用いてくずし字を読む方法を紹介した上で、演習形式で5回、指定した史料を輪読する(輪読の担当範囲はイントロダクション時に決定する)。輪読においては、あらかじめその回で扱う史料を読んでくることが前提だが、とくに各自の担当範囲についてはできる限り精密に取り組むこと。クラス中は自由な発言・議論を行い、常に双方向のコミュニケーションを試みる。
授業計画・課題
| 授業計画 | 課題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | イントロダクション |
本講義の概要や到達目標、参考文献、成績評価方法などを説明する。また、演習の担当を決定する。 |
| 第2回 | 近代文語文(1) |
【講義】近代文語文(とくに漢文訓読体)の文法や語彙、定型表現を説明する。 |
| 第3回 | 近代文語文(2) |
【演習】近代文語文で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第4回 | 近代文語文(3) |
【演習】近代文語文で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第5回 | 候文(翻刻)(1) |
【講義】候文の文法や語彙、定型表現を説明する。 |
| 第6回 | 候文(翻刻)(2) |
【演習】候文(翻刻)で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第7回 | 候文(翻刻)(3) |
【演習】候文(翻刻)で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第8回 | 候文(翻刻)(4) |
【演習】候文(翻刻)で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第9回 | くずし字(1) |
【講義】辞書やデータベース、アプリなどの使い方を含め、くずし字の読み方を説明する。 |
| 第10回 | くずし字(2) |
【演習】くずし字で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第11回 | くずし字(3) |
【演習】くずし字で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第12回 | くずし字(4) |
【演習】くずし字で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第13回 | くずし字(5) |
【演習】くずし字で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。 |
| 第14回 | くずし字(6) |
【演習】くずし字で書かれた文章を輪読する。各自担当範囲を準備すること。最後に本講義のまとめを行い、締めくくりとする。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,参考書やスライド等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
特になし。
参考書、講義資料等
大老・井伊直弼や外国奉行・井上清直に関係する史料の候補として、以下を挙げる。
・島田三郎『開国始末 : 井伊掃部頭直弼伝』1888年、輿論社
・佐々木克『史料 公用方秘録』サンライズ出版、2007年
・武蔵村山市歴史民俗資料館所蔵 井上清直関係資料(渡辺善一郎家文書)
史料については教員の方で用意するか、オンライン上で閲覧可能なものとする。参加者の希望に応じ、別のものに変更する可能性もある。
近代文語文・候文の理解について、以下を挙げる。
・庵功雄『留学生のための近代文語文入門 -現代の日本と日本語を知るために-』スリーエーネットワーク、2021年(※留学生でない学生にもおすすめ)
・古田島洋介『日本近代史を学ぶための文語文入門: 漢文訓読体の地平』吉川弘文館、2013年
・佐藤孝之監修・著、宮原一郎・天野清文著『近世史を学ぶための古文書「候文」入門』吉川弘文館、2023年
くずし字読解の辞書として、以下を挙げる。
・児玉幸多編『くずし字解読辞典 普及版』東京堂出版、1993年
・児玉幸多編『くずし字用例辞典 普及版』東京堂出版、1993年
その他、講義の中でも必要に応じて紹介する。
成績評価の方法及び基準
議論への参加・貢献度50%、輪読の担当報告50%
関連する科目
- 歴史学A
- 歴史学B
- LAH.S414 : 文系エッセンス14:歴史学
履修の条件・注意事項
義務教育や高校レベルの日本史・古文・漢文の予備知識があるのが望ましいが、講義中でも基礎的な知識を適宜確認しながら進行する予定である。
連絡先 (メール、電話番号) ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。
sawai.i.1085[at]m.isct.ac.jp
[at]を@に変換すること.
オフィスアワー
教員にメールなどで事前連絡の上で、互いの予定を鑑みて個別的に設定。