2026年度 (最新) 学院等開講科目 情報理工学院 数理・計算科学系 数理・計算科学コース
計算機支援数理
- 開講元
- 数理・計算科学コース
- 担当教員
- 山下 真 / 天谷 賢治 / 倉林 大輔 / 澄田 範奈
- 授業形態
- 講義
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - クラス
- -
- 科目コード
- MCS.T506
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2026年度
- 開講クォーター
- 4Q
- シラバス更新日
- 2026年7月13日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
この講義では,数理最適化の基礎となる凸解析と最適化アルゴリズムを中心に扱う。前半では,最適化の基本的な見方,分離定理,凸性,劣勾配,共役関数などを学ぶ。続いて,滑らかな最適化に対する勾配法,Nesterov加速法,Newton法,さらに非滑らかな凸最適化に対するproximal mapping,Moreau envelope,proximal point method を学ぶ。制約付き凸最適化では,双対性,KKT条件,感度解析,線形計画,最適輸送,内点法の基本的な考え方を扱う。後半では,非線形制約に対する接錐,線形化,制約想定,KKT条件,拡張ラグランジュ法,双対proximal point method を学ぶ。あわせて,工学的応用や最適化計算の効率化も取り上げ,理論と実践のつながりを意識しながら,最適化をより広い視野から学ぶ。
近年の計算機の急速な進歩により,数理科学の方法論には大きな変化が生じている。数理最適化はその中核となる方法の一つであり,理論とアルゴリズムの両方を理解することは,複雑な問題を正しくモデル化し,適切な計算手法を選ぶうえで重要である。本講義では,幾何学的な見方と計算手法の両面から最適化を学び,応用へのつながりも意識しながら理解を深める。
到達目標
本講義を履修することによって,次の能力を修得する。
1. 凸性,分離定理,劣勾配,共役関数など,凸最適化の基礎概念を説明できる。
2. 勾配法,Nesterov加速法,Newton法,proximal point method などの基本的な計算手法の枠組みを説明できる。
3. 双対性,KKT条件,内点法の基本的な考え方を説明できる。
4. 非線形制約に対する接錐,線形化,制約想定,KKT条件の関係を説明できる。
5. 拡張ラグランジュ法と双対proximal point method の関係を説明し,工学的応用や最適化計算の効率化とのつながりを理解できる。
キーワード
数理最適化,凸解析,分離定理,支持超平面,劣勾配,共役関数,双対ノルム,勾配法,Nesterov加速法,Newton法,proximal mapping,Moreau envelope,双対性,KKT条件,内点法,最適輸送,接錐,拡張ラグランジュ法a
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
講義資料に沿って理論の説明を行い,各回の終わりに演習問題または確認問題を扱う。必要に応じて簡単な例題や計算を通して,定義,定理,アルゴリズムの意味を確認する。
授業計画・課題
| 授業計画 | 課題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | 最適化の導入,最適化,分離,凸性 |
最適化の基本例を理解し,epigraph と凸性の基本的な考え方を説明できる。 |
| 第2回 | 分離定理,支持超平面,劣勾配 |
分離定理から支持超平面と劣勾配がどのように得られるかを説明できる。 |
| 第3回 | 共役関数,Fenchel-Young不等式,双対ノルム |
共役関数の意味と Fenchel-Young 不等式,双対ノルムの基本を説明できる。 |
| 第4回 | 滑らかな無制約最適化 - Armijo条件とbacktracking |
Armijo 条件と backtracking line search により,ステップサイズをどのように選ぶかを説明できる。 |
| 第5回 | 計算量 - 勾配法とNesterov加速法 |
勾配法と Nesterov 加速法の収束の違いを説明できる。 |
| 第6回 | Newton法 - 局所2次収束 |
Newton 法の基本的な考え方と局所2次収束を説明できる。 |
| 第7回 | 非滑らかな凸最適化 - Proximal Mapping, Moreau Envelope, PPM |
proximal mapping,Moreau envelope,proximal point method の基本を説明できる。 |
| 第8回 | 凸制約 - 例,双対性,KKT条件,感度解析 |
ラグランジュ双対性,KKT 条件,感度解析の基本的な枠組みを説明できる。 |
| 第9回 | 線形計画と最適輸送 - Farkasの補題,双対性,相補性,内点法 |
線形計画の双対性,相補性,内点法の基本的な考え方を説明し,最適輸送を線形計画として捉えられる。 |
| 第10回 | 機械計測における最適化 |
機械計測のどのような場面で最適化が必要か説明できる。 |
| 第11回 | 自然をお手本にした最適化手法 |
身の回りの問題と自然模倣型の最適化手法との関係を説明できる。 |
| 第12回 | 最適化計算の効率化 |
最適化手法のさまざまな改良方法を理解する。 |
| 第13回 | 非線形制約 - 接錐,線形化,制約想定,KKT条件 |
接錐,線形化錐,制約想定と KKT 条件の関係を説明できる。 |
| 第14回 | 拡張ラグランジュ法(ALM),双対PPM,まとめ |
拡張ラグランジュ法の基本と双対 proximal point method との関係を説明できる。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,講義資料や参考書の該当箇所を参照し,毎回,授業内容に関する予習と復習(課題を含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
教科書は指定しない。講義資料を中心に進める。
参考書、講義資料等
参考資料は以下のものを中心とする。
S. Boyd and L. Vandenberghe, "Convex Optimization", Cambridge University Press, 2004.
J. Nocedal and S. Wright, "Numerical Optimization (2nd ed.)", Springer, 2006.
R. T. Rockafellar, "Convex Analysis", Princeton University Press, 1970.
D. P. Bertsekas, "Nonlinear Programming (3rd ed.)", Athena Scientific, 2016.
必要に応じて,他の参考資料は講義資料の中で示す。
成績評価の方法及び基準
最適化問題のモデル化,理論の理解,および各計算手法の枠組みについて評価する。採点はレポートと期末試験によって行う。
関連する科目
- MCS.T302 : 数理最適化
- MCS.T402 : 数理最適化理論
- ICT.M310 : 数理計画法
- IEE.A430 : 数値的最適化
履修の条件・注意事項
線形計画問題に対するシンプレックス法,および半正定値行列を含む線形代数の知識があること。