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2021年度 学院等開講科目 情報理工学院 数理・計算科学系 数理・計算科学コース

量子計算と量子情報

開講元
数理・計算科学コース
担当教員
森 立平
授業形態
講義
メディア利用科目
-
曜日・時限
(講義室)
火5-6 / 金5-6
クラス
-
科目コード
MCS.T413
単位数
200
開講時期
2021年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2025年7月10日
使用言語
英語

シラバス

授業の目的(ねらい)、概要

近年の量子情報技術の進展により、量子情報処理の基礎の習得は益々重要になっている。本講義では線形代数に基づく量子力学の基礎及び、量子力学を用いた情報処理について扱う。また、量子力学に基づく計算と通信の基礎を学ぶ。

到達目標

以下の知識と能力を習得する。
(1) 線形代数に基づく量子力学の基礎
(2) 非局所性に基づく量子力学の理解
(3) 量子テレポーテーション等の基本的な量子情報処理の技術
(4) 量子回路を用いた量子計算の基礎
(5) 基本的な量子アルゴリズム(位相推定、Shor のアルゴリズム、Grover のアルゴリズム)

キーワード

量子情報、量子計算

学生が身につける力

  • 専門力
  • 教養力
  • コミュニケーション力
  • 展開力 (探究力又は設定力)
  • 展開力 (実践力又は解決力)

授業の進め方

Zoom 等によるライブ型授業は行なわず、Youtube にアップロードされた講義動画をいつでも試聴可能なオンデマンド型授業を実施する。講義に使用した資料は GitHub にアップロードする。質問は Slack で受け付ける。毎回の授業で演習課題を出題する。

授業計画・課題

授業計画 課題
第1回

量子論: 量子状態と量子測定、ベルテスト

量子論の定式化に関する基本的な課題

第2回

1量子ビット: ブロッホ球、ユニタリ変換、1量子ビットゲートのユニバーサリティ

1量子ビットにおけるユニタリ変換の計算

第3回

2つ以上の量子ビット: テンソル積、エンタングルメント、Schmidt 分解

テンソル積や Schmidt 分解に関する計算

第4回

スペクトル分解、量子状態の純粋化、超密度符号化

スペクトル分解や純粋化に関する課題

第5回

量子テレポーテーション

合成系における量子状態の部分測定に関する課題

第6回

非局所性: ベルの不等式、GHZパラドクス、XORゲーム

XORゲームの勝率の計算

第7回

量子状態の識別: Holevo--Helstrom の定理、トレースノルム

トレースノルムの計算

第8回

量子論に基づく暗号プロトコル: BB84, ビットコミットメント

量子暗号に関する課題

第9回

量子回路: Deutch--Josza アルゴリズム

量子回路の出力状態の計算

第10回

量子回路のユニバーサル性 1

量子回路の設計

第11回

量子回路のユニバーサル性 2

量子回路の設計

第12回

量子位相推定

量子位相推定の解析

第13回

Shor のアルゴリズム

ユニタリ行列の固有ベクトルの導出

第14回

Grover のアルゴリズムとその最適性

Grover のアルゴリズムの一般化の証明

準備学修(事前学修・復習)等についての指示

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

特になし。

参考書、講義資料等

Michael A. Nielsen and Isaac L. Chuang, "Quantum Computation and Quantum Information," 10th Anniversary edition, Cambridge University Press 2010.

成績評価の方法及び基準

演習課題: 40%、オンライン期末試験: 60%

関連する科目

  • MCS.T203 : 応用線形代数

履修の条件・注意事項

特に条件はないが、線形代数の十分な理解を要する。