2021年度 H27年度以前入学者向け 理学部 数学科
数学特殊講義G
- 開講元
- 数学科
- 担当教員
- 山本 修二 / 鈴木 正俊
- 授業形態
- 講義
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 集中講義等
- クラス
- -
- 科目コード
- ZUA.E341
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2021年度
- 開講クォーター
- 2Q
- シラバス更新日
- 2025年7月10日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
Riemannゼータ関数やDirichlet L関数の非正整数における値の計算は,Euler以来の古典的なテーマである.新谷卓郎は錐分割という卓抜なアイディアによって,これを一般の総実代数体に拡張する結果を得た.最近,坂内健一氏・萩原啓氏・山田一紀氏らとの共同研究において,新谷の結果を「代数トーラス族の同変層係数コホモロジー」という枠組みで再解釈し,より自然な理解を与えることに成功したので,それらのことについて解説する.また同様の枠組みを使って,p進L関数の正整数における値をp進ポリログで表す公式(有理数体におけるColemanの定理の拡張)についても述べたい.
講義の中心となるテーマは「新谷生成類」というある種のコホモロジー類を具体的に構成することである.古典的な有理数体の場合,新谷生成類はt/(1-t)という有理関数に他ならない.このように,関数の自然な一般化としてコホモロジー類を考えることは,今回のケースに限らず,古典的な定理・公式の拡張を考える際に有用となる可能性がある.この講義を通じてその視点を獲得し,コホモロジーを扱う方法の実例とともに学んでほしい.
到達目標
・有理数体のLerchゼータ関数の特殊値が,一つの生成関数で記述される仕組みを理解すること
・総実代数体のゼータ関数に対する新谷の仕事の概要を理解すること
・総実代数体に付随する代数トーラス族,および同変コホモロジーのCech複体による記述を知ること
・新谷生成類の構成,およびその等分点における特殊化の計算法を理解すること
・総実代数体のp進ポリログの構成,およびp進L関数の値との関係を知ること
キーワード
総実代数体,Lerchゼータ関数,Hecke L関数,新谷生成類,p進L関数,p進ポリログ
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 以下の内容を解説する予定である. ・有理数体のLerchゼータ関数の特殊値に関する古典的結果 ・総実代数体のゼータ関数の特殊値に関する新谷の仕事 ・代数トーラス族およびその同変コホモロジーの記述 ・新谷生成類の構成 ・新谷生成類の等分点への特殊化の計算 ・p進L関数とp進ポリログの構成およびそれらの関係 | 講義中に指示する. |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
使用しない
参考書、講義資料等
Bannai et al.: Canonical equivariant cohomology classes generating zeta values of totally real fields, arXiv:1911.02650
Bannai et al.: p-adic polylogarithms and p-adic Hecke L-functions for totally real fields, arXiv:2003.08157
成績評価の方法及び基準
レポート課題(100%)による.
関連する科目
- MTH.A301 : 代数学第一
- MTH.A302 : 代数学第二
- MTH.A331 : 代数学続論
履修の条件・注意事項
特になし