2020年度 学院等開講科目 情報理工学院 数理・計算科学系 数理・計算科学コース
量子計算と量子情報
- 開講元
- 数理・計算科学コース
- 担当教員
- 森 立平
- 授業形態
- 講義 (ZOOM)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火5-6 (Zoom) / 金5-6 (Zoom)
- クラス
- -
- 科目コード
- MCS.T413
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2020年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2025年7月10日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
近年の量子情報技術の進展により、量子情報処理の基礎の習得は益々重要になっている。本講義では線形代数に基づく量子力学の基礎及び、量子力学を用いた情報処理について扱う。また、量子力学に基づく計算と通信の基礎を学ぶ。
到達目標
以下の知識と能力を習得する。
(1) 線形代数に基づく量子力学の基礎
(2) 非局所性に基づく量子力学の理解
(3) 量子テレポーテーション等の基本的な量子情報処理の技術
(4) 量子回路を用いた量子計算の基礎
(5) 基本的な量子アルゴリズム(位相推定、Shor のアルゴリズム、Grover のアルゴリズム)
キーワード
量子情報、量子計算
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
スライド等の授業資料を用いて講義をする。毎回課題を出す。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 量子力学: 量子状態と量子測定、ベルテスト | 与えられた状態と測定に対する測定結果の確率分布の計算 |
第2回 | 1量子ビット: ブロッホ球、ユニタリ変換、1量子ビットゲートのユニバーサリティ | 1量子ビットにおけるユニタリ変換の計算 |
第3回 | 2つ以上の量子ビット: テンソル積、エンタングルメント、量子テレポーテーション | 2つ以上の量子ビットにおけるユニタリ変換の計算 |
第4回 | 非局所性: ベルの不等式、GHZパラドクス、XORゲーム | XORゲームの勝率の計算 |
第5回 | 量子回路: Deutch--Josza アルゴリズム | 量子回路の出力状態の計算 |
第6回 | 量子回路のユニバーサル性 | 量子回路の設計 |
第7回 | Solovay--Kitaev アルゴリズム | Solovay--Kitaev アルゴリズムの改善 |
第8回 | 量子位相推定 | 量子位相推定の解析 |
第9回 | Shor のアルゴリズム | ユニタリ行列の固有ベクトルの導出 |
第10回 | Grover のアルゴリズムとその最適性 | Grover のアルゴリズムの一般化の証明 |
第11回 | 量子計算量理論: 計算量クラス | 計算量クラスに関する証明 |
第12回 | 量子情報理論: 量子状態の識別、行列ノルム | 行列ノルムと量子状態の識別確率の計算 |
第13回 | スタビライザー状態: パウリ群、クリフォード群 | スタビライザー状態にクリフォード群を適用した際の計算 |
第14回 | 量子誤り訂正符号 | 量子誤り訂正符号に関する証明 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
特になし。
参考書、講義資料等
Michael A. Nielsen and Isaac L. Chuang, "Quantum Computation and Quantum Information," 10th Anniversary edition, Cambridge University Press 2010.
成績評価の方法及び基準
期末試験: 30%
課題: 70%
関連する科目
- MCS.T203 : 応用線形代数
履修の条件・注意事項
特に条件はないが、線形代数の十分な理解を要する。