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2020年度 学院等開講科目 物質理工学院 材料系

磁性体材料科学

開講元
材料系
担当教員
東 康男 / 松下 伸広
授業形態
講義 (ZOOM)
メディア利用科目
-
曜日・時限
(講義室)
火3-4 (S7-202) / 金3-4 (S7-202)
クラス
-
科目コード
MAT.C307
単位数
200
開講時期
2020年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2025年7月10日
使用言語
日本語

シラバス

授業の目的(ねらい)、概要

材料の磁性の起源について理解し、磁性材料がどのように電子デバイスにおいて活用されているかについて学ぶ。
磁性体は多くの磁気モーメントから構成され、それらの磁気モーメントの方位が相対的にどのように配列するかによって様々な磁気秩序が発現する。本講義では、磁気モーメントの起源を電磁気学と量子力学の基礎から理解し、さらに磁気モーメント間の相互作用、結晶中での磁気モーメントの振る舞い等について記述する方法を修得する。また、磁気異方性、磁化過程、磁区構造、磁気共鳴等の磁気現象を記述する方法を修得することで、磁性材料を電子デバイスにおいて活用するための手法を養う。

到達目標

本講義を履修することにより、以下の知識と能力を修得する。
1) 初等的な電磁気学、量子力学に基づいて、磁気モーメント、角運動量、交換相互作用等の概念を正しく説明することができる。
2) 常磁性、強磁性などの物質のマクロな磁気的性質の起源を説明することができる。
3) 応用上特に重要な強磁性体の磁気現象(磁気異方性, 磁化過程, 磁区構造, 磁気共鳴)を説明することができる。
4) 上記の基礎的な知識に基づいて磁性材料をデバイスに応用するための基礎的方法を説明することができる。

キーワード

電磁気学, 量子力学, シュレーディンガー方程式, 磁気モーメント, 角運動量, 結晶場, 多重項, キュリー則, 交換相互作用, キュリーワイス則, パウリ常磁性, スレーターポーリング曲線, 磁気異方性, 磁化過程, 磁区構造, 磁気共鳴, 磁性と伝導, 磁気応用

学生が身につける力

  • 専門力
  • 教養力
  • コミュニケーション力
  • 展開力 (探究力又は設定力)
  • 展開力 (実践力又は解決力)

授業の進め方

適宜、講義に関連する演習問題等に取り組みながら理解を深められるように授業を進める。

授業計画・課題

授業計画 課題
第1回 電磁気学と磁気モーメント 磁気モーメントと環状電流の関係の導出, 磁場中の磁気モーメントのエネルギーの定式化
第2回 量子力学とシュレーディンガー方程式 シュレーディンガー方程式の球対称ポテンシャル中での解の定性的理解
第3回 角運動量と角運動量の合成 角運動量の量子力学的な取り扱いの導出
第4回 結晶場と軌道角運動量の消失 八面体結晶場による3d電子のエネルギー準位の変化と軌道角運動量の消失の起源の説明
第5回 原子の角運動量と多重項 二つのp電子の角運動量の合成
第6回 自由イオンとキュリー則 常磁性のキュリー則の導出
第7回 交換相互作用とキュリーワイス則 交換相互作用に基づくキュリーワイス則の導出
第8回 バンド理論とパウリ常磁性 パウリ常磁性磁化率の導出
第9回 金属の強磁性とスレーターポーリング曲線 磁性合金の磁気モーメントの導出
第10回 強磁性・反磁性・フェリ磁性の分子磁界理論 分子磁界理論の表現
第11回 磁気異方性 一軸磁気異方性の極座標表示の導出
第12回 磁区と磁壁構造 磁壁の厚さと磁壁エネルギー
第13回 磁化過程と磁気損失 回転磁化、磁気損失の分離
第14回 磁気共鳴、磁気応用 磁化の動力学、ESR、FMR、磁気デバイス(巨大磁気抵抗、トンネル磁気抵抗)

準備学修(事前学修・復習)等についての指示

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

特になし

参考書、講義資料等

太田恵造著「磁気工学の基礎」共立出版、近角聰信著「強磁性体の物理」裳華房

成績評価の方法及び基準

磁性の基礎知識と磁性材料のデバイス応用上の考え方についての理解度を評価する。レポートおよび期末試験で成績を評価する。

関連する科目

  • MAT.A203 : 材料量子力学
  • MAT.C203 : 統計力学(C)
  • MAT.C306 : 誘電体材料科学

履修の条件・注意事項

電磁気学を履修していること。