2020年度 学院等開講科目 理学院 化学系 エネルギーコース
マルチスケール熱流動科学
- 開講元
- エネルギーコース
- 担当教員
- 長﨑 孝夫 / 大河 誠司
- 授業形態
- 講義 (ZOOM)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 木5-6 (Zoom)
- クラス
- -
- 科目コード
- ENR.K530
- 単位数
- 100
- 開講時期
- 2020年度
- 開講クォーター
- 4Q
- シラバス更新日
- 2025年7月10日
- 使用言語
- 英語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
本講義では、沸騰、キャビテーションで重要となる気泡核の生成と成長、エアロゾルおよび超微粒子生成などで重要となる過飽和蒸気からの凝縮核の生成と成長、過熱壁面上の沸騰・蒸発で重要となる固気液三相界線および極薄液膜の蒸発現象、固気二相流・ミスト流・気泡流のように微細な分散相を含む混相流のモデリング、過冷却現象、固液相変化における凝固核生成と成長について、マクロな現象からミクロな現象まで、そのメカニズムと解析手法を解説する。さらに分子スケールでの熱流体現象の解析として分子動力学法の基礎と応用について解説する。
以上のようなマルチスケール熱流動現象におけるマクロからミクロまでのつながりを理解するとともに、分子動力学法の基礎を習得し、応用として何ができるかを理解することを本講義のねらいとする。
到達目標
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 核生成理論および巨視的な熱流体力学に基づき、気泡核および凝縮核の生成と成長を見積もることができる。
2) 分離圧、界面蒸発抵抗などミクロスケールの効果を含めた液膜の熱流動解析ができる。
3) 気泡あるいは粒子を含む分散性二相流の支配方程式を導出できる。
4) 核生成理論に基づき、凝固核の生成と成長を見積もることができる。
5)分子動力学法の基礎を理解することができる。
6)分子動力学法の応用として、物性値の算出や相変化に伴う分子挙動の把握を習得することができる。
キーワード
マルチスケール、熱流体、相変化、蒸発、沸騰、凝縮、核生成、気泡、液滴、液膜、二相流、凝固、過冷却、分子動力学法、熱物性値
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
何回かの講義では当日の講義内容に関する演習を行う。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | イントロダクション(マルチスケール熱流動の概要) | マルチスケール熱流動の概要を理解する。 |
第2回 | 過熱液からの気泡核生成・成長、過飽和蒸気からの凝縮核生成・成長 | 核生成理論を理解する。 |
第3回 | 固気液三相界線および極薄液膜における蒸発現象 | 分離圧、界面蒸発熱抵抗などミクロスケールの界面現象を理解する。 |
第4回 | 微細な分散相を含む混相流のモデリング | 連続相と分散相の支配方程式の連成を理解する。 |
第5回 | 凝固核生成・成長 | 固液相変化に伴う熱エネルギーの輸送をミクロとマクロの視点から理解する。 |
第6回 | 分子動力学法の基礎 | 分子動力学法の基礎を理解する。 |
第7回 | 分子動力学法の計算法とアルゴリズム | 具体例を用いてさらに分子動力学法を理解する。 |
第8回 | 応用例(熱物性値の算出、固液相変化など) | 分子動力学法を使ってできる主なことを習得する。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
なし
参考書、講義資料等
必要に応じて資料を配布
成績評価の方法及び基準
講義内容の理解度を演習(20%)とレポート提出(80%)により評価する。
関連する科目
- ENR.K430 : 乱流制御論
- MEC.E431 : 非平衡系の熱力学
- MEC.F431 : 計算熱流体力学
- ENR.K450 : 燃焼物理学
- MEC.E433 : 熱流体先端計測
- ENR.K580 : 先端エネルギー技術
履修の条件・注意事項
熱力学、伝熱学、流体力学の基礎知識を有すること。