2026年度 (最新) 学院等開講科目 工学院 情報通信系
線形電子回路
- 開講元
- 情報通信系
- 担当教員
- ISLAM A K M MAHFUZUL / 佐藤 広生
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火5-6 (S4-203) / 金5-6 (S4-203)
- クラス
- -
- 科目コード
- ICT.I312
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2026年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2026年9月28日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
電子回路は現代の情報システムの根幹を成しており,半導体デバイスの微細化に伴って高速化・高性能化が進んでいる.
また,電子回路は物理世界とサイバー世界をつなぐ重要なインタフェースであり,その中でトランジスタは情報の増幅・変換を担う基本素子である.
したがって,電子回路を設計するためには,トランジスタの動作原理と特性を理解することが不可欠である.
一方,実際の回路設計には,電子回路に特有の解析手法を身につける必要がある.
本授業では,トランジスタの基本特性を理解するとともに,小信号等価回路を用いた電子回路の解析手法を修得する.
さらに,電子回路における代表的な汎用回路要素である演算増幅器について,その基本特性と応用方法を学ぶ.
到達目標
この授業では以下の知識・手法を修得する.
1) トランジスタの基本動作と特性を説明できる.
2) 小信号等価回路を用いて電子回路を見通しよく解析できる.
3) 増幅度,入出力抵抗,周波数特性などの基本的な回路特性を求めることができる.
4) 演算増幅器の基本特性と負帰還の概念を理解し,基本的な演算増幅回路を解析できる.
5) 電子回路の動作を定性的・定量的に考察し,設計上のトレードオフを説明できる.
キーワード
トランジスタ,増幅回路,負帰還,差動増幅回路,演算増幅器
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
この授業では,まず電子回路の解析に必要な基礎的な回路解析手法を復習し,半導体素子およびMOSトランジスタの動作原理と特性について学ぶ.
次に,MOSトランジスタの小信号等価回路を用いて,基本的な増幅回路の動作,解析方法,および設計方法を説明する.
さらに,カスコード増幅器や多段増幅器など,複数の増幅段を組み合わせた回路へと対象を広げ,利得,入出力抵抗,周波数特性,ノイズなどの回路特性を解析・評価する手法を学ぶ.
その後,バイアス回路や差動増幅回路を扱い,素子ばらつきや動作条件の変動が回路特性に与える影響について考察する.
さらに,負帰還による回路特性の安定化と改善,帰還回路の安定性および周波数補償について学ぶ.
最後に,これらの知識を統合し,CMOS演算増幅器の基本構成と設計方法,ならびに演算増幅器を用いた基本的な回路設計について学ぶ.
授業計画・課題
| 授業計画 | 課題 | |
|---|---|---|
| 第1回 | 回路解析の基礎 |
KCL/KVL,等価回路,動作点,小信号解析の考え方 |
| 第2回 | 電子回路と半導体素子の基礎 |
ダイオード,MOS構造,電子回路におけるトランジスタの役割 |
| 第3回 | MOSトランジスタの動作原理とモデル化 |
動作領域,I–V特性,トランスコンダクタンス,小信号等価回路 |
| 第4回 | 基本MOS増幅回路の解析と設計 |
ソース接地,ドレイン接地,ゲート接地,利得,入出力抵抗 |
| 第5回 | カスコード増幅器と多段増幅器 |
出力抵抗,高利得化,カスコード,多段接続 |
| 第6回 | 増幅回路の周波数特性 |
極・零点,ミラー効果,帯域幅,高周波小信号モデル |
| 第7回 | 電子回路のノイズと解析手法 |
熱雑音,フリッカ雑音,入力換算雑音,SNR |
| 第8回 | 中間試験 |
中間試験 |
| 第9回 | 中間試験の解説と回路設計の総合演習 |
前半内容の整理と設計問題への適用 |
| 第10回 | バイアス回路と差動増幅回路 |
電流源,カレントミラー,差動対,コモンモード特性 |
| 第11回 | 回路特性のばらつきと負帰還 |
PVT・素子ばらつき,負帰還による特性安定化 |
| 第12回 | 帰還回路の安定性と補償 |
ループ利得,位相余裕,利得余裕,Bode線図,補償 |
| 第13回 | CMOS演算増幅器の解析と設計 |
差動入力段,利得段,出力段,利得・帯域・消費電力の設計 |
| 第14回 | 演算増幅器を用いた回路設計 |
反転・非反転増幅器,積分器,フィルタ,実用回路への応用 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと.また,回路の様々な特性をシミュレーション可能なプログラム(LTspice)を提供する.これらのシミュレーションを自ら行い,パラメータを変えて特性変化を確認し,理解を深めること.
教科書
特定の教科書は使わない.
参考書、講義資料等
必要に応じて補足の講義資料を配布する
成績評価の方法及び基準
成績は,レポート課題,中間試験,および期末試験により評価する.
原則として,レポート課題を20%,中間試験を30%,期末試験を50%の割合で評価し,最終スコアは次式により算出する.
最終スコア = MAX(レポート課題20% + 中間試験30% + 期末試験50%,期末試験100%)
すなわち,通常の配点に基づく評価と,期末試験のみを100%として算出した評価のうち,高い方を最終スコアとして採用する.
関連する科目
- ICT.I203 : 交流回路
- ICT.I207 : 線形回路
履修の条件・注意事項
履修条件は特に設けないが,関連する科目を履修していることが望ましい.