2024年度 学院等開講科目 教養科目群 文系教養科目
文系エッセンス48:数理科学史
- 開講元
- 文系教養科目
- 担当教員
- 多久和 理実 / 平野 葉一
- 授業形態
- 講義 (ライブ型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 水7-8
- クラス
- -
- 科目コード
- LAH.S441
- 単位数
- 100
- 開講時期
- 2024年度
- 開講クォーター
- 1Q
- シラバス更新日
- 2025年3月14日
- 使用言語
- 英語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
数学史は単に理論や概念の歴史的発展を意味するのではない。数学者はそれぞれの活動をとおしてときには思考し、ときには実践的試行を行って数学を展開させてきた。実際、数学の展開は社会の諸局面のなかで捉えられる。本講義では、数学史および数学思想史をテーマに、その認識論的な理解の基礎を提供する。具体的には、数学の展開の諸断面を事例に、理論や実践の展開について考察し、それらをinternalな理論史とexternalな外的要因史の双方をふまえた全体史的視点から検討する。
この講義では、学生は数学や科学の展開を広義に理解することが求められる。その意味で、このテーマには人間の思考や活動の歴史的展開も含まれ、とくに、それらからどのように学問が形成されてきたかを理解することに重点が置かれている。その点で、この講義での手法は数学史以外にも幅広く適用することができ、学生の人間の思考、活動の理解につながる。学生は講義で学んだ手法を数学史や科学史だけではなく、それぞれの問題に応用して解決する力を身につけることが期待される。
到達目標
本授業を履修することによって次の能力を修得する。
1) 数学の歴史的展開におけるさまざまな要素の存在を理解する
2) 数学の概念や理論には人間営為から帰納的に導かれたものがあることを理解する
3) 数学の展開は各時代の思想や価値観を反映していることを理解する
4) これらの理解から、今日の数学や科学技術の問題を考える基本的考え方を身につける。
キーワード
数学史、数理思想史、全体史、理論と実践、帰納と演繹
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
1) この授業は遠隔で実施します。詳細に関しては最初の授業開始までに提示します。
2) 毎回の授業はスライドを用いた講義形式で進めます。事前に各回の講義概要、参照する資料(デスカッション用の問題を含む)を配布します。また、必要に応じて専門術語の資料も配布する予定です。
3) 学生は授業前に授業概要、参照資料を読み、問題を予習しておくことが求められます。授業では問題の解答を提示しながら進めます。
4) 各回の授業後に、復習をかねて課題の提出を求めます(出席および成績評価に用います)。また、質問がある場合は質問票の提出を受け付けます。
5) 各回の授業の前半で、復習をかねて前回の課題および質問についてコメントします。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション―数学史における全体史的視点 ・数学史研究におけるinternal history, external history, total history ・数学における理論と実践 ・数学におけるヨーロッパ中心主義と民族数学 | 本講義の意義を理解する: ・数学の特徴を概観し、数学史における全体史の意義について理解する。 |
第2回 | ギリシア幾何学―論証の-構造と作図問題 ・ユークリッド『原論』を中心とする古代ギリシアの論証幾何学の構造 ・三大作図不可能問題(角の三等分、立方体倍積問題、円積問題) ・ピタゴラス学派の研究(次回の予習も含めて) | 論証幾何学の構造について理解する(例、「ロバの橋」問題(二等辺三角形の両底角の問題[Euclid, I, Prop.5]))。 |
第3回 | 数の話―整数から有理数、無理数への展開 ・ピタゴラス学派の図形数(自然数の和) ・古代ギリシアの通約不可能性(無理数の発見) ・正五角形と黄金比 | 人間が数をどのように扱ってきたかについて理解し、無理数の概念の導入とその存在の評価について検討する |
第4回 | 代数方程式論の展開―不可能性問題の証明 ・方程式の解法の歴史的展開(アラビア数学) ・代数式の表現および座標系の導入 ・5次方程式の非可解性と数学の展開(不可能性問題の証明) | 方程式論の展開における抽象化について理解する。不可能性に関わる問題が数学の概念や理論を展開させることを理解する。 |
第5回 | ルネサンス期の数学 (1)―芸術と数学 ・ルネサンス期の数学における実用性 ・芸術家の活動に見られる数学的要素(遠近法、人体均衡論) | ルネサンス期に見られる数学が概して実用的側面をもつことを理解し、そこから数学の性格について検討する。 |
第6回 | ルネサンス期の数学 (2)―レオナルド・ダ・ヴィンチの数学活動 ・レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿に見られる数学的要素 ・レオナルド・ダ・ヴィンチの思考のルーツとしての古典学術 | ルネサンスの天才レオナルド・ダ・ヴィンチが数学研究を行っていること、その諸活動の根底には古典的な学術が大きく影響していることを理解する。 |
第7回 | まとめ―数学博物館(数学を見せる歴史展示物) ・数学博物館-人間営為や社会と関わる数学に関わる展示物 ・数学を応用した自然の理解 ・数学とはいかなる学問かについての総括 | 本授業で学習した数学の理論と実践をとおして、数学がどのような学問であったかについて各自で考察し、それぞれが理解した内容をまとめる。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,毎回の授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
とくになし
参考書、講義資料等
Carl B. Boyer & Uta C. Merzbach, A History of Mathematics (John Wiley & Sons, 2011).(英語)
成績評価の方法及び基準
1) 各授業の課題をとおして、講義内容に対する理解度を評価します(各授業の課題の提出期限は1週間を予定)。また、最後の授業で最終課題を課します。
2) 配点は、第1回~第6回、各10点(計60点)、最終課題40点、計100点。
3) 課題の提出の遅れ、再提出を繰り返した場合には不合格とすることがあります。
関連する科目
- LAH.S433 : 文系エッセンス37:科学史
- LAH.T102 : 科学史A
- LAH.T202 : 科学史B
- LAH.T302 : 科学史C
履修の条件・注意事項
1) 原則として履修制限は設けない。
2) この授業は英語で実施される。ただし、質問に関しては英語、日本語を可とする。
3) 学生は、事前に配布した参照資料(英語)を予習して授業に臨むことが求められる。
連絡先 (メール、電話番号) ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。
yhirano[at]tsc.u-tokai.ac.jp
オフィスアワー
質問、意見は授業の前後に受け付ける。電子メールでの相談も可。
その他
4/10(水)は、授業は実施しません。
この授業の実施日は、4/17(水),24(水)、5/1(水),8(水),15(水),22(水) ,29(水)の全7回です。