2024年度 学院等開講科目 生命理工学院 生命理工学系 生命理工学コース
細胞物理生物学
- 開講元
- 生命理工学コース
- 担当教員
- 林 宣宏 / 村上 聡 / 田口 英樹 / 德永 万喜洋 / 石井 佳誉
- 授業形態
- 講義 (ライブ型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火3-4 / 金3-4
- クラス
- -
- 科目コード
- LST.A409
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2024年度
- 開講クォーター
- 4Q
- シラバス更新日
- 2025年3月14日
- 使用言語
- 英語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
生命とは何か?なぜ?この問いに答えるために、基本的な原理・本質的なモデル・定量的な物差しで考える習慣を身につけることが、本講義の主眼である。この物理的な考え方で、生命と細胞の多様な営みを捉えると、難しい数式の物理学ではなく、物理学としての面白さ・すばらしさを味わうことができる。これまでに学んできた物理化学と生化学・分子生物学・生物学とを結びつけて、具体的な現象のなぜ?を考え議論することで、生命現象の本質を理解し、科学的な考察能力を深める。物理化学の基礎の理解を前提として、専門的な考察を深める。
到達目標
1) 生命現象を、数・空間・時間といった定量的な物差しで俯瞰することができる。
2) 全系のエントロピー最大・系のギブズエネルギー最小が、生命現象を熱的に決める基本原理であることを具体例をもとに説明できる。
3) 酔歩、柔らかい鎖、剛性のある梁の理論を学び、生体高分子や細胞の構造を議論できる。
4) 生体膜と膜タンパク質、膜が生み出す生体電気と活動電位について定量的に理解できる。
5) 細胞内反応と生体分子モーターのダイナミクスを具体例をもとに議論できる。
キーワード
生体高分子、細胞機能、 生体膜、タンパク質、生体電気、活動電位、生体分子モーター、熱力学、輸送、反応ダイナミクス、膜輸送
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
教科書の内容に沿ってその順で講義する。(したがって講義箇所について、教科書の予習・復習を各自で行うこと)。講義は全て英語で行う。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | なぜ?数を通して見た生命(石井 佳誉) | 生命システムの物理モデルと定量解析の重要性を理解する。 |
第2回 | 何が?どこに?細胞と生物の構築プラン(石井 佳誉) | 生命システムを構成する種々のユニットを理解する。 |
第3回 | いつ?時間スケールで見た生命(石井 佳誉) | 生命システムにおいて多用な時間軸があることを理解する。 |
第4回 | 平衡:エントロピー最大とギブズエネルギー最小(林 宣宏) | 生命システムにおける反応過程を決めるエネルギーを理解する。 |
第5回 | 周囲のエントロピーが支配するボルツマン分布(林 宣宏) | 統計力学を用いて生命現象を理解する。 |
第6回 | 2状態系:イオンチャネルとヘモグロビン(林 宣宏) | 2状態系として扱える高分子を、統計力学を適用して理解できる。 |
第7回 | ランダムウォーク(德永 万喜洋) | 拡散など生命現象の基本であるランダムウォークの本質を理解する。 |
第8回 | ランダムウォークによる鎖の理論:高分子構造(德永 万喜洋) | タンパク質や核酸など高分子鎖構造をランダムウォークとして理解する。 |
第9回 | 剛性を持つ梁の理論:DNAと細胞骨格の構築(德永 万喜洋) | 高分子鎖や細胞骨格の構築を剛性を持つ弾性体として本質を理解する。 |
第10回 | 反応速度式と細胞内ダイナミクス(田口 英樹) | 細胞内タンパク質の動態を反応速度式で理解する。 |
第11回 | 分子モーターのダイナミクス:並進モーター(田口 英樹) | 並進モータータンパク質の分子機構の概要を理解する。 |
第12回 | 分子モーターのダイナミクス:回転モーター(田口 英樹) | 回転モータータンパク質の分子機構の概要を理解する。 |
第13回 | 生体膜の性質と膜タンパク質(村上 聡) | 生体膜と、そこに存在する膜タンパク質の物理化学的な特性を理解する。 |
第14回 | 生体電位と細胞膜および膜タンパク質(村上 聡) | 生体膜電位の発生に関与する膜タンパク質の働きについて理解する。 |
第15回 | 生体電位とホジキン-ハクスレーモデル(村上 聡) | 神経の活動電位発生について神経のケーブル理論とホジキンハクスレー方程式を理解する。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
“Physical Biology of the Cell, 2nd ed.” Phillips et al, Garland Science, 2012
参考書、講義資料等
(第一版訳)“細胞の物理生物学” Phillips他,共立出版,2011年; アトキンス生命科学のための物理化学 第2版、Atkins他、東京化学同人、2014年; “アトキンス物理化学(上) (下) 第8版” Atkins他,東京化学同人,2009年; "アトキンス 物理化学問題の解き方 (学生版) (第8版) 英語版” Atkins他,東京化学同人,2009年
成績評価の方法及び基準
各回の理解度を確保するために、随時のレポートもしくはプレゼンテーションにより、本質的な理解と定量的な議論を問い、評価する。
関連する科目
- LST.A201 : 物理化学第一(熱力学,反応速度)
- LST.A206 : 物理化学第二(統計熱力学)
- LST.A211 : 物理化学第三(分子軌道,相互作用)
- LST.A341 : 生物物理化学
- LST.A403 : 生物物理学
履修の条件・注意事項
履修条件は特に設けないが、生化学、蛋白質科学の基本的な知識を持ち、且つ、物理化学第一、第二を履修していること、もしくはアトキンスの教科書(「物理化学」か「生命科学のための物理化学」)を理解していることが望ましい。
連絡先 (メール、電話番号) ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。
林宣宏 (nhayashi[at]bio.titech.ac.jp, 03-5734-3863)
石井佳誉 (ishii[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5817)
徳永万喜洋 (mtoku[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5711)
村上聡 (murakami[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5748)
田口英樹 (taguchi[at]bio.titech.ac.jp, 045-924-5785)
その他
講義はライブ型で実施するが、各回の理解度を確保するために、随時のレポートもしくはプレゼンテーションにより、本質的な理解と定量的な議論を問い、評価する。