2024年度 学院等開講科目 生命理工学院 生命理工学系
物理化学第一(生命の熱力学)
- 開講元
- 生命理工学系
- 担当教員
- 三重 正和 / 小畠 英理 / 長田 俊哉 / 石井 佳誉
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火1-2 (M-278(H121)) / 金1-2 (M-278(H121))
- クラス
- -
- 科目コード
- LST.A201
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2024年度
- 開講クォーター
- 1Q
- シラバス更新日
- 2025年3月17日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
物質・エネルギーや物理的変化・化学変化に関する事物・現象に関し、熱力学と分子運動論を中心として、物理学の基本的な概念や原理・法則の理解を深めることを目標とする。日常生活に表れる様々な運動と力・圧力・エネルギーや、物質の状態と変化に関し、広く土台となる科学的な見方や考え方を養う。特に、抽象的で難解とされることの多い、熱の関わる現象の本質を理解することにより、状態や反応の変化の向き、利用することができるエネルギーといった、自然現象全般の根幹となる法則の本質を理解し、科学的な考察能力を深める。
到達目標
1) 分子運動論を理解し、力学的エネルギーと熱エネルギー、力と圧力、温度の分子論的意味を説明できる。
2) 熱力学第一法則の理解により、エネルギーの諸形態と保存を説明できる。
3) 熱力学第二法則の理解により、熱・温度と仕事に関する考察を深め、エントロピーと変化の向きを説明できる。
4) ギブズエネルギーを理解し、利用できるエネルギー、相平衡と相転移に関わる事象を定量的に議論できる。
5) 分子論・熱統計力学の観点から、微視的にエントロピー・温度・ギブズエネルギーの意味を理解し、熱の関わる現象の本質を説明できる。
キーワード
熱力学、分子運動論、エントロピー、ギブズエネルギー、平衡状態と自発的変化、反応、相平衡と相転移
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
教科書「アトキンス生命科学のための物理化学」に即して、入門的に詳細な解説を講義で行います。随時、テキストにある問題を演習的に各自で解いて理解を深めます。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 基本概念と気体分子運動論(三重 正和) | 温度と圧力・運動エネルギーとの関係を、気体を分子の衝突からなる分子運動論により導出する。 |
第2回 | 系と外界、仕事と熱、内部エネルギー (三重 正和) | 系と周囲(熱浴)下での仕事・熱・内部エネルギーに関する基本関係式を記述する。 |
第3回 | 熱力学第一法則:エネルギー保存則、エンタルピー、物理過程 (三重 正和) | 物理過程におけるエンタルピー変化を、エネルギー保存則としての熱力学第一法則を用いて計算する。 |
第4回 | 化学反応とエンタルピー:結合エンタルピー、生成エンタルピー、反応エンタルピー、熱機関の思考実験カルノーサイクル、熱効率、クラウジウスの不等式(三重 正和) | 化学反応におけるエンタルピー変化を計算する。カルノーサイクルにおける熱の出入りと仕事を計算し、熱効率とクラウジウスの不等式を導出する |
第5回 | 熱力学第二法則:エントロピー、平衡、自発変化の向き(石井 佳誉) | 自発変化の向きをエントロピーを用いて定量的に記述する。 |
第6回 | 熱力学第三法則、化学反応に伴うエントロピー変化(石井 佳誉) | 絶体エントロピーを理解する。化学反応に伴うエントロピー変化を計算する。 |
第7回 | ギブズエネルギー、自発変化と平衡、最大仕事(石井 佳誉) | 全系のエントロピーとギブズエネルギーの関係を理解し、自発変化・平衡・化学反応におけるギブズエネルギー変化と仕事を定量的に記述する。 |
第8回 | 微視的状態から観た熱平衡と不可逆変化、温度、エントロピー(石井 佳誉) | 熱力学第二法則の分子論的考察から、エントロピーと温度を統計力学的に理解する。 |
第9回 | ボルツマン分布、ギブズエネルギーの分子論的意味、エネルギー等分配則(石井 佳誉) | ボルツマン分布とギブズエネルギー変化の意味を分子論的視点から理解する。 |
第10回 | 相転移とギブズエネルギー、相図(小畠 英理、長田 俊哉) | 相転移におけるギブズエネルギーの圧力変化と温度変化を定量的に記述し、相図を理解する。 |
第11回 | 物質固有な点、水の相図、生体高分子・凝集体における相転移(小畠 英理、長田 俊哉) | 水の相図が特徴的である理由を説明する。核酸やタンパク質構造と生体膜の相転移をギブズエネルギー変化により定量的に理解する。 |
第12回 | 混合物の熱力学的記述、化学ポテンシャル:一様性、溶媒、溶質(小畠 英理、長田 俊哉) | 溶媒と溶質に関し、化学ポテンシャルの濃度依存性を定量的に記述する。 |
第13回 | 活量、ドナン平衡、混合のエントロピー、沸点・凝固点の変化、浸透圧(小畠 英理、長田 俊哉) | ドナン平衡の細胞における役割を理解する。混合のエントロピー・沸点上昇・凝固点降下・浸透圧に関し化学ポテンシャル変化から定量的に記述する。 |
第14回 | 浸透圧法、反応ギブズエネルギー、反応比、生物学的標準状態(小畠 英理、長田 俊哉) | 浸透圧法によりモル質量を計算する。反応ギブズエネルギーの濃度依存性、反応比について定量的に記述する。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
Atkins他『アトキンス生命科学のための物理化学 第2版』東京化学同人,2014年,ISBN-13: 978-4807908387.
参考書、講義資料等
Atkins他『アトキンス物理化学(上) (下) 第8版』東京化学同人,2009年,ISBN-13: 978-4807906956, 978-4807906963.
Tinoco他『バイオサイエンスのための物理化学 第5版』東京化学同人,2015年; ISBN-13: 978-4807908806.
Reif他『統計物理 <復刻版>バークレー物理学コース』丸善,2011年; ISBN-13: 978-4621083437.
長岡洋介『統計力学』岩波書店,1994年; ISBN-13: 978-4000079273.
Phillips他『細胞の物理生物学』共立出版,2011年; ISBN-13: 978-4320057166.
成績評価の方法及び基準
各教員より課せられる課題等により評価する。適宜授業内での質問を含む小テストを行う。小テスト・課題:100%。
関連する科目
- LST.A206 : 物理化学第二(統計熱力学)
履修の条件・注意事項
特に無し。