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2024年度 学院等開講科目 情報理工学院 数理・計算科学系 数理・計算科学コース

数理・計算科学特論EB

開講元
数理・計算科学コース
担当教員
中野 張 / 三上 敏夫
授業形態
講義
メディア利用科目
-
曜日・時限
(講義室)
集中講義等
クラス
-
科目コード
MCS.T415
単位数
200
開講時期
2024年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2025年3月14日
使用言語
日本語

シラバス

授業の目的(ねらい)、概要

E. Schrödingerは、1931–1932 年に、量子力学への確率論的アプローチ(Schrödingerの問題)に関する論文を発表した。Schrödingerの問題は、確率論の世界では、Bernstein過程の研究に始まり、h-path processの研究へと発展してきた。三上は、h-path processの連続極限を考えることにより、E. Nelsonの確率力学で重要な役割を果たすNelson processの構成の別証明を与えた。また、h-path processのゼロ雑音極限により、物体の最適な輸送方法を求めるMongeの問題(最適輸送問題)の確率論的な証明を与えた。そこに端を発して、最適輸送問題を特別な場合として含む確率最適輸送問題の研究をはじめた。Schrödingerの問題は、データサイエンスの世界では、最適輸送問題のエントロピー正則化と呼ばれ、近年盛んに研究されている。この講義では、最適輸送問題やSchrödingerの問題を通して、その一般化である確率最適輸送問題への入門を学んでいく。また、時間の許す範囲で様々な話題についても触れたい。

到達目標

最適輸送問題、Schrödingerの問題の基礎理論および、そのデータサイエンスへの応用を学ぶ。

キーワード

確率最適輸送問題、Schrödingerの問題、Schrödingerの汎函数方程式、最適輸送問題、エントロピー正則化、Sinkhorn algorithm、ゼロ雑音極限、エルゴード問題

学生が身につける力

  • 専門力
  • 教養力
  • コミュニケーション力
  • 展開力 (探究力又は設定力)
  • 展開力 (実践力又は解決力)

授業の進め方

座学

授業計画・課題

授業計画 課題
第1回 (確率論における)Schrödingerの問題概説(6/11火3-8時限) Schrödingerの問題の概要を説明できるようになる
第2回 最適輸送問題概説、最適輸送問題の基本性質:有限確率ベクトルを中心に(6/11火3-8時限) 有限確率ベクトルの枠組みにおいて最適輸送問題の概要と基本性質を説明できるようになる
第3回 1次元の最適輸送問題(6月11日3-8時限) 1次元の最適輸送問題について説明できるようになる
第4回 離散最適輸送問題のエントロピー正則化: Schrödingerの汎函数方程式とSinkhorn algorithm(6/14金3-8時限) 離散最適輸送問題のエントロピー正則化に現れるSchrödingerの汎函数方程式とSinkhorn algorithmについて説明できるようになる
第5回 離散最適輸送問題のエントロピー正則化のゼロ雑音極限(6/14金3-8時限) 離散最適輸送問題のエントロピー正則化のゼロ雑音極限について説明できるようになる
第6回 離散最適輸送問題のエントロピー正則化のエルゴード問題(6/14金3-8時限) 離散最適輸送問題のエントロピー正則化のエルゴード問題について説明できるようになる
第7回 Schrödingerの問題の基本性質(6/18火5-8時限) Schrödingerの問題の基本性質を説明できるようになる
第8回 Schrödingerの汎函数方程式とSinkhorn algorithm(6/18火5-8時限) Schrödingerの汎函数方程式とSinkhorn algorithmを説明できるようになる
第9回 Markov連鎖に対するSchrödingerの問題のエルゴード問題(6/21金5-8時限) Markov連鎖に対するSchrödingerの問題のエルゴード問題について説明できるようになる
第10回 Schrödingerの問題とSDE(6/21金5-8時限) Schrödingerの問題とSDEの関連について説明できるようになる
第11回 Schrödingerの問題と確率制御(6/26水5-8時限) Schrödingerの問題と確率制御の関連について説明できるようになる
第12回 Schrödingerの問題のゼロ雑音極限と最適輸送問題(6/26水5-8時限) Schrödingerの問題のゼロ雑音極限と最適輸送問題の関連について説明できるようになる
第13回 Schrödingerの問題の短時間挙動(6/28金5-8時限) Schrödingerの問題の短時間挙動を説明できるようになる
第14回 Schrödingerの問題のエルゴード問題(6/28金5-8時限) Schrödingerの問題のエルゴード問題について説明できるようになる

準備学修(事前学修・復習)等についての指示

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

教科書は指定しない.

参考書、講義資料等

・確率力学としての最適輸送問題, 日本数学会「数学」第58巻, 第4号 (2006) 364--382.
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku1947/58/4/58_4_364/_pdf/-char/ja

・確率最適輸送問題入門, システム制御情報学会誌「システム/制御/情報」第64巻第7号・数学的視点からの確率制御と推定特集号,252-257 (2020).
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/isciesci/64/7/64_252/_pdf/-char/ja

・Chen, Y. , Georgiou, T. T., Pavon, M.:
 Stochastic control liaisons: Richard Sinkhorn meets Gaspard Monge on a Schrödinger bridge.
 SIAM Review 63, no. 2, 249–313 (2021)

・Mikami, T.:
 Stochastic Optimal Transportation: Stochastic Control with Fixed Marginals.
 Springer Briefs in Mathematics, Springer, Singapore (2021)

・Peyre, G., Cuturi, M.:
 Computational Optimal Transport: With Applications to Data Science. 
 Now Publishers, Boston (2019)

・Rachev, S. T., Rüschendorf, L.:
 Mass Transportation Problems, Vol. I: Theory, Vol. II: Application.
 Springer, Heidelberg (1998)

・Schweizer, B., Sklar, A.:
 Probabilistic Metric Space.
 Dover Publications, New York (2005)

・Villani, C.:
 Topics in Optimal Transportation.
 Amer. Math. Soc., Providence, RI (2003)

成績評価の方法及び基準

出席(60%)とレポート(40%)による。

関連する科目

  • MCS.T212 : 確率論基礎
  • MCS.T332 : データ解析
  • MCS.T312 : マルコフ解析
  • MCS.T410 : 応用確率論
  • MCS.M422 : 情報統計力学
  • MCS.T223 : 数理統計学
  • MCS.T333 : 情報理論
  • MCS.T403 : 統計的学習理論
  • MCS.T419 : 確率微分方程式

履修の条件・注意事項

微分積分、初等確率論の知識があった方が良い。(講義は、高度な数学の知識は復習/勉強しながら進めます)