2024年度 学院等開講科目 物質理工学院 応用化学系 原子核工学コース
放射線生物学・医学
- 開講元
- 原子核工学コース
- 担当教員
- 松本 義久
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火1-2 (北2号館571, North 2-571) / 金1-2 (北2号館571, North 2-571)
- クラス
- -
- 科目コード
- NCL.B401
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2024年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2025年3月14日
- 使用言語
- 英語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
今日、放射線は癌をはじめとするさまざまな疾病の診断や治療などにおいて極めて大きな役割を担っています。また、放射線の生物影響の理解は、原子力・放射線の安全利用のために必須です。本講義では、さまざまな放射線の生物影響について、分子・細胞レベルから組織・個体レベルに至るまで体系的に理解することを目指します。
到達目標
⑴さまざまな放射線生物影響およびその線量との関係について理解すること。(2)放射線の生体に対する影響および生体の放射線に対する応答について、意義やメカニズムを分子・細胞生物学に基づいて体系的に理解すること。(3)上記に基づき、放射線診断・治療および放射線防護の原理と実際について理解すること。
キーワード
放射線影響、放射線治療、放射線診断、DNA損傷/修復、放射線感受性
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
第1回〜第4回:放射線と放射性物質の基礎、量と単位について学習し、続いて、さまざまな放射線影響とそれが現れる線量との関係について学習します。さらに、原爆、放射線事故などの実例に触れます。第5回〜第7回:放射線影響を体系的に理解するために必要となる分子生物学、細胞生物学の基礎を学習します。第8回〜第10回:まず、さまざまな細胞死の定義、放射線量と細胞生存率の定量的関係とそのモデルについて学習します。次に、DNA損傷に対する生体防御機構とその分子メカニズムについて学習します。第11回〜第12回:放射線の生物作用を修飾するさまざまな要因について学習します。第13回〜第15回:これまで学習した内容を元に、放射線診断・治療および放射線防護の原理、実際について学習します。最後に、放射線生物影響のメカニズムを解明するための研究の最先端に触れます。
各授業において、予習・復習のための課題を出します。また、理解確認のための小テストを数回行います。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 放射線生物影響基礎〜放射線と放射性物質の種類、性質、量、単位 | 1. 放射能(Bq)、吸収線量(Gy)、等価線量、実効線量(Sv)など放射線に関わる諸量と単位の定義。2. 放射線と放射性物質の種類と性質。 |
第2回 | 放射線生物影響概論(1)〜影響の分類、急性放射線症候群、さまざまな組織における影響 | 1. 放射線影響の分類(特に、確定的影響と確率的影響)。2. 急性放射線症候群(造血器系症候群、消化器系症候群等)の線量、時間経過、メカニズム。3.さまざまな組織における影響(生殖器、皮膚、眼など)。 |
第3回 | 放射線生物影響概論(2)〜胎児への影響、発がん、遺伝的影響 | 1. 胎児への影響 (奇形など)。2. 発がん(原爆、高自然放射線地域など)。3. 遺伝的影響(疫学調査と動物実験)。4. リスク(相対リスク、絶対リスク)。 |
第4回 | 放射線生物影響概論(3)〜原爆、放射線事故などの放射線影響 | 原爆、放射線事故(チェルノブイリ事故、東海村JCO事故、福島第一原発事故など)の放射線影響 |
第5回 | 放射線生物学・医学のための分子・細胞生物学基礎(1)〜細胞、生体分子 | 1. 生物を構成する要素である細胞、オルガネラ、生体分子(DNA、RNA、タンパク質など)。2. DNA複製、転写、翻訳。3. 細胞周期 |
第6回 | 放射線生物学・医学のための分子・細胞生物学基礎(2)〜遺伝子発現、細胞内情報伝達 | 1. 遺伝子型と表現型。2. 遺伝子発現の時空間的調節。3. 細胞内でのシグナルの伝達とタンパク質翻訳後修飾。 |
第7回 | 分子・細胞レベルでの放射線影響・放射線応答(1)〜さまざまな細胞死、細胞生存率曲線、回復 | 1. さまざまな細胞死と定義(増殖死、分裂死、間期死、アポトーシス、ネクローシスなど)。2. 細胞生存率曲線とモデル(標的モデル、直線-二次曲線(LQ)モデル)。3. 亜致死損傷回復(SLDR)と潜在的致死損傷回復(PLDR)。 |
第8回 | 分子・細胞レベルでの放射線影響・放射線応答(2)〜DNA損傷・修復 | 1. DNA損傷の種類。2. DNA修復機構(特にDNA二重鎖切断修復)。3. 放射線高感受性遺伝病(XP, SCID, AT, NBSなど)。 |
第9回 | 分子・細胞レベルでの放射線影響・放射線応答(3)〜チェックポイントとアポトーシス | 1. 細胞周期チェックポイントのメカニズムと意義。2. アポトーシスのメカニズムと意義。 |
第10回 | 放射線の生物作用を修飾する要因(1)〜分割照射、線量率、LET、酸素など | 1. 分割照射・低線量率放射線の効果。2. 線エネルギー付与(LET)と生物学的効果比(RBE)。3. 酸素増感比(OER)と低酸素細胞。 |
第11回 | 放射線の生物作用を修飾する要因(2)〜増感剤と防護剤など | 1. 放射線増感剤(低酸素細胞増感剤、DNA修復酵素阻害剤など)。2. 防護剤(ラジカルスカベンジャーなど)。 |
第12回 | グループワーク、発表 | |
第13回 | 放射線診断・治療の原理と実際 | 1. 放射線を用いた診断(CT, PETなど)。2. 放射線治療(IMRT, 粒子線治療, 密封小線源治療など)。 |
第14回 | 放射線防護の基礎と実際/放射線生物学・医学研究の実際 | 1. 国際機関(ICRP、IAEA、UNSCEARなど)。2. 正当化、最適化(ALARA)、線量限度。3.放射線生物影響のメカニズムを解明する研究の最先端で何が行われているか紹介する。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
特になし
参考書、講義資料等
「人体のメカニズムから学ぶ放射線生物学」松本義久編 メジカルビュー社
「放射線医科学―生体と放射線・電磁波・超音波―」大西武雄監修 医療科学社
「Radiobiology for the Radiologist, seventh edition」
E.J. Hall and Amato J. Giaccia Lippincott, Williams & Wilkins
成績評価の方法及び基準
課題(40%)、小テスト(25%)、レポート(25%)、その他(グループワーク、発表など)(10%)
関連する科目
- NCL.U401 : 環境放射線計測フィールドワーク
- NCL.U403 : 放射性物質環境動態
- NCL.N401 : 原子核物理基礎
- CAP.E361 : 放射化学
- ZUB.F332 : 放射線の基礎と応用
- TSE.A340 : 原子核工学基礎第4
履修の条件・注意事項
履修条件は特にないが、「放射線の基礎と応用」(ZUB.F332)、「放射化学」(CAP.E361)、「原子核工学基礎第4」(TSE.A340)、「原子核物理基礎」(NCL.N401)などをあらかじめ履修しておくことを勧める。
連絡先 (メール、電話番号) ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。
松本義久
居室:大岡山北1号館1階160号室
E-mail: yoshim[at]zc.iir.titech.ac.jp
Tel: 03-5734-2273
オフィスアワー
第3クオーター中は火曜日の10:45-12:15まで。それ以外はメールで事前に連絡すること