2024年度 学院等開講科目 理学院 物理学系
統計力学(演習) B
- 開講元
- 物理学系
- 担当教員
- 綿引 芳之 / 足立 聡 / 古賀 昌久
- 授業形態
- 演習 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火5-6 (M-103(H114)) / 金5-6 (M-103(H114))
- クラス
- B
- 科目コード
- PHY.S311
- 単位数
- 010
- 開講時期
- 2024年度
- 開講クォーター
- 1Q
- シラバス更新日
- 2025年3月14日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
統計力学の考えかたを理解して、具体的な系での計算をできるように訓練する。
最初に、確率論の初歩として、二項分布、ポアソン分布、正規分布を学ぶ。量子力学からエネルギー準位、状態数、状態密度などの概念を導入して、それらによりミクロカノニカル分布の理論をつくり、温度とエントロピーを統計力学的に定義する。そこから、計算のために便利なカノニカル分布の理論をつくる。カノニカル分布の理論により、二準位系、調和振動子系を最も基礎的な系として解析する。さらに、調和振動子系の応用として、固体に格子振動の比熱の理論と黒体輻射の理論を学ぶ。
到達目標
確率論の初歩。統計力学全体の概念的基盤であるミクロカノニカル分布の理論。特に、等しい確からしさを持つものは対象となる物理系全体の個々のエネルギー固有状態である。計算に便利であるカノニカル分布の理論の中心的道具は分配関数である。分配関数が計算できれば、ヘルムホルツ自由エネルギーを通じて、すべての熱力学量は熱力学的に計算できる。二準位系、調和振動子系、固体の格子振動子系、黒体輻射の系にカノニカル分布の理論を適用して、実際に計算ができるようにする。
キーワード
二項分布、ポアソン分布、正規分布。等しい確からしさ。ミクロカノニカル分布、エネルギー、温度、エントロピー、ボルツマンの公式。カノニカル分布、分配関数。ヘルムホルツ自由エンルギー、ギッブス自由エネルギー、エンタルピー。二順位系、ショットキーの比熱。調和振動子系の比熱。固体の格子振動子系、アインシュタイン模型、デバイ模型。黒体輻射、プランクの公式。
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
演習問題のプリントをあらかじめ配ります。学生の方は自宅で問題を解いてきて、黒板で発表することが期待されています。発表してもらった内容について、議論します。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 統計力学の準備(統計力学とは、熱力学の復習) | 統計力学と熱力学の役割分担を理解する。 |
第2回 | 統計力学の準備(確率論の基礎) | ここの確率論の肝は何が等しい確からしさを持っているかである。基本的な分布(二項分布、ポアソン分布、正規分布)に親しむ。 |
第3回 | ミクロカノニカル分布 I (エネルギー準位、状態数、状態密度) | 統計力学において、等しい確からしさを持つのは対象の全系の個々のエネルギー固有状態である。 |
第4回 | ミクロカノニカル分布 II (等重律の原理、エントロピー、熱平衡の条件と温度) | 等重率の原理により、温度とエントルピーが統計力学でどのように定義されるか? |
第5回 | ミクロカノニカル分布 III (ミクロカノニカル分布の応用例) | ミクロカノニカル分布の理論により簡単な系の熱力学的性質を実際に計算する。 |
第6回 | カノニカル分布 I (カノニカル分布の導入) | カノニカル分布はいかに定義されるか? |
第7回 | カノニカル分布 II (分配関数、ヘルムホルツ自由エネルギー) | カノニカル分布の理論の中心量は分配関数である。それからヘルムホルツ自由エネルギーが計算できる。 |
第8回 | カノニカル分布 III (カノニカル分布の簡単な応用例) | ミクロカノニカル分布の理論で計算した例をカノニカル分布の理論で再計算する。カノニカル分布による計算はずっと簡単になることを味わう。 |
第9回 | カノニカル分布 IV (古典統計力学による分配関数、位相空間) | 対応原理を用いて、すでに構築した量子論による統計力学から古典論による統計力学を導出する。 |
第10回 | カノニカル分布 V (古典統計力学の応用例:単原子・2原子分子理想気体、熱力学第三法則、低温極限と高温極限) | 単原子分子と二原子分子の比熱の違いは古典統計力学により理解できる。 温度が絶対零度に近づく時、エントロピーはゼロに近づく(熱力学第三法則)。 |
第11回 | 固体振動と比熱 I (アインシュタイン模型とその問題点、連成振動) | 低音において固体の格子振動の比熱はゼロに向かう。アインシュタイン模型は比熱の極限値のゼロは説明するが、近づき方が現実と合わない。 |
第12回 | 固体振動と比熱 II (基準振動、デバイ模型、比熱) | アインシュタイン模型の欠陥を乗り越えるために、格子振動の基準振動モードを求めて、デバイ模型がつくられる。今度は、極限値のみならず、近づき方もバッチリ説明する。 |
第13回 | 黒体輻射 I (電磁場と調和振動子) | 真空中の電磁場は無限個の調和振動子に等価である。よって、黒体輻射の統計力学は調和振動子のそれで説明できる。 |
第14回 | 黒体輻射 II (黒体輻射の量子論) | 歴史的に量子論のかいびゃくを告げたのは、 黒体輻射のスペクトルを定量的に説明したプランクの公式であった。その公式を導出する。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
なし。
参考書、講義資料等
なし。
成績評価の方法及び基準
黒板発表、レポート、試験による。
関連する科目
- ZUB.Q204 : 量子力学第一
- ZUB.Q215 : 量子力学演習第一
- ZUB.E202 : 電磁気学第一
- ZUB.E211 : 電磁気学演習
- ZUB.Q203 : 解析力学(講義・物理学科)
- ZUB.Q212 : 解析力学演習
履修の条件・注意事項
解析力学と電磁気学を習得しており、量子力学の初歩を理解していることを前提にしている。