2023年度 学院等開講科目 工学院 電気電子系 電気電子コース
磁気浮上と磁気支持工学
- 開講元
- 電気電子コース
- 担当教員
- 千葉 明
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 月3-4 (S2-201(S224)) / 木3-4 (S2-201(S224))
- クラス
- -
- 科目コード
- EEE.P501
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2023年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2025年7月8日
- 使用言語
- 英語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
21世紀初頭より磁気浮上、磁気支持システムが実用化しつつある。JR山梨リニア実験線、名古屋のリニモ、上海のマグレブなどの磁気浮上列車が走行しつつある。一方、半導体製造プロセスではベアリングレスモータポンプによる超純水移送、磁気軸受を伴ったターボ分子ポンプなどが実現している。
本講義では超伝導磁気浮上、高温超伝導、磁気浮上列車などの磁気浮上系と、磁気軸受、ベアリングレスモータなどの磁気支持系について学ぶ。
到達目標
超伝導、高温超伝導、永久磁石、電磁石などの材料、磁気回路について理解する。
超電導磁石を用いた誘導反発磁気浮上方式、高温超伝導を用いた磁気浮上方式、反発型永久磁石磁気浮上方式、吸引型電磁石磁気浮上方式などの構成、原理を理解する。
さらに、マグレブ等の列車、磁気軸受、ベアリングレスモータなどの原理、構成、特長を理解する。
実務経験のある教員等による授業科目等
実務経験と講義内容との関連 (又は実践的教育内容)
実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容)
担当教員は磁気浮上、磁気支持の実務経験が豊富である。すなわち、30年以上にわたり、磁気浮上して回転するベアリングレスモータの研究を行い、数々の試作機を製作してきた。世界ではじめてのベアリングレスモータを試作した実務経験がある。また、Bearingless motorへの貢献で世界ではじめてIEEE Fellowになった。さらに、2020年IEEE Nikola Tesla Award (31のIEEE Technical Awardsのひとつ)をBearingless motorへの貢献で受賞している。Bearingless motorへの貢献で受賞したのは担当教員が世界で初めてである。世界最大出力のベアリングレスモータを設計し、試作し、試験して論文発表した経験もある。
キーワード
マグレブ、磁気支持、磁気浮上、磁気軸受、ベアリングレスモータ
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
講義概要、今日の磁気浮上のデモ、あるいは、今日のビデオ、講義、演習レポート
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | この講義のシラバス配布、教育内容 目標、成績評価方法・基準を説明。 | 講義担当のオフィスアワー。ネットのテストアカウント作成、磁気浮上のデモ。 磁気軸受とベアリングレスモータのイントロ。 Elsevier参考書・テキストの紹介 |
第2回 | ベアリングレスモータの応用例 | テキスト21章に基づき、ベアリングレスモータの応用を紹介する。なぜ、この応用が磁気浮上磁気支持が必要なのか,どのような効果があるのか。磁気浮上のデモも行う。 |
第3回 | 超伝導の基礎 | 超伝導体の種類と特徴,永久電流,マイスナー効果,ピン止め効果,永久磁石の磁気浮上 |
第4回 | 磁気回路の解析 | 簡単な磁気回路とその解析、電磁力、非線形性, 磁束密度、磁気抵抗、起磁力、磁束鎖交数 |
第5回 | 永久磁石の磁気回路解析 | BHカーブ、永久磁石の種類、等価回路、磁気回路解析、吸引力 |
第6回 | ラジアル磁気軸受 | 構造、原理、電流、起磁力、等価回路、電磁力解析 |
第7回 | 磁気軸受のモデル化 | 力と電流の関係、線形化、不平衡吸引力、ブロック線図、安定化するコントローラ |
第8回 | 超伝導体による軟磁性体の磁気浮上 | 超伝導体と永久磁石の違い,軟磁性体に働く電磁力,軟磁性体の磁気浮上,その他の磁気浮上 |
第9回 | 磁気軸受の制御系の必要条件 | 磁気支持系の不安定性と、フィードバックコントローラの原理、設計 |
第10回 | 磁気支持系のコントローラのパラメータと磁気軸受の応答 | パラメータと応答、外乱力の抑制と変位、積分制御 回転同期外乱、ラジアル力発生方向のエラー、アンバランス |
第11回 | パワーエレクトロニクスとベアリングレスモータイントロ。 | パワーエレクトロニクスとベアリングレスモータイントロ。 |
第12回 | 山梨磁気浮上リニア新幹線 | 構造、超電導コイル、推進コイル、浮上コイル、試験運転、ビデオ、写真、組み立て、最新情報 山梨見学ビデオ |
第13回 | リニモ、(HSST)磁気浮上列車 | 構造、特質、歴史、低速磁気浮上列車の推進、磁気浮上、電磁力発生原理、フィードバック制御システム。 |
第14回 | トランスラピッド磁気浮上列車 その他のマグレブ | 構造、高速鉄道、推進原理、電力供給方法、磁気浮上、上海マグレブ、ビデオ、状況 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
Akira Chiba, Tadashi Fukao, Osamu Ichikawa, Masahide Oshima, Masatsugu Takemoto and David G. Dorrell, ``Magnetic Bearings and Bearingless Drives'', Newnes Elsevier, ISBN 0 7506 5727 8, 2005
参考書、講義資料等
配布
成績評価の方法及び基準
授業中レポート60%、課外レポート20%,期末試験20% 初回の講義で受講者と相談。
学会発表、体調不良で休んだ人はA4用紙4pのサマリーを提出すること
関連する科目
- EEE.P301 : 電気機器工学
- EEE.P311 : パワーエレクトロニクス
履修の条件・注意事項
電気機器学、パワーエレクトロニクスの基礎を習得していることが望ましい。
その他
この講義ではT2schalorを利用したアクティブラーニングを実施します。スマホ、ノートPCあるいはタブレット等を持参してきてください。eラーニングによる学部授業の改善については以下のページにレポートがありますので、2014年度から2017年度について一読されたし。しかし、英語を主体とする大学院講義では、日本の学生さんが積極的に話す機会が少ない状況にあり、これを改善したいと思います。どうしたら改善できるか、一緒に考えましょう。アドバイスおねがいします。
http://www.chiba.ee.titech.ac.jp/lecture.html