2022年度 学院等開講科目 教養科目群 文系教養科目
文系エッセンス45:シミュレーション社会科学
- 開講元
- 文系教養科目
- 担当教員
- 中井 豊
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 集中講義等 (S223)
- クラス
- -
- 科目コード
- LAH.S510
- 単位数
- 100
- 開講時期
- 2022年度
- 開講クォーター
- 4Q
- シラバス更新日
- 2025年7月10日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
本講義の主題は「シミュレーション社会科学」である。前半は、社会的ジレンマに陥る様々な問題状況、たとえば、万人の万人に対する闘争状態やフリーライダー問題などを説明するとともに、進化ゲーム理論や進化シミュレーションの分析手法を用いて、共同体、国家、市場等の制度の出現が、これらのジレンマの解決に関連することを理論的に明らかにする。後半は未来に目を向け、様々なソーシャル・ビジネスの可能性と課題を学生諸君と議論してゆく。一例として、クラウドファンディングを取り上げ、計算社会科学(データサイエンス)を用いて、ビジネスモデルを分析する。
講義では、問題状況を数理モデルやプログラムで定式化し、同時に、モデルにこめられた社会科学的意味を吟味する形で、言説中心の社会理論にない新しい社会理論を示す。そして、新たに生まれつつある共助社会をシステム思考で洞察する力を涵養する。
到達目標
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 様々な交換(1:1の一般交換、1:Nの一般交換、限定交換)におけるジレンマの解決が、共同体、ネーション(国民)、ステーツ(国家)、市場、という制度の形成と関係していることが理解できる。
2) 制度の形成が数理的なモデルやプログラムを用いて記述できることが理解できる。
3) 過去を踏まえ、新しい社会の兆しに気づき、洞察することができる。
4) 計算社会科学(データサイエンス)によって、共助社会をシステム科学的にデザインできる可能性が理解できる。
実務経験のある教員等による授業科目等
実務経験と講義内容との関連 (又は実践的教育内容)
当該教員は、宇宙開発事業団と三菱総合研究所で20年間の実務経験を有しており、現実の社会のあり様と社会理論を対比させながら講義を進める。
キーワード
一般交換、万人の万人に対する闘争状態、フリーライダー問題、内集団びいき、略奪国家、社会的ジレンマ、進化ゲーム理論、進化シミュレーション、共同体、ネーション(国民)、ステーツ(国家)、クラウドファンディング、計算社会科学、データサイエンス
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
本講義では、社会科学的な解釈とモデルの構造を連携させることを重視し、被説明対象である社会・歴史現象を具体的に説明するとともに、これを説明する数理モデルやアルゴリズムを出来る限り簡単な数学を用いて説明する。
本講義は、次の通り、対面にて集中講義の形式で行う。
(講義室:大岡山キャンパス南2号館S223)
2月13日(月):第1回《3-4限》、第2回《5-6限》
2月15日(水):第3回《3-4限》、第4回《5-6限》
2月17日(金):第5回《3-4限》、第6回《5-6限》、第7回《7-8限》
集中講義のため、3日間、すべての時間帯に出席することが履修の条件となる。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 集団的直接互酬システム~共同体という現象~ | 集団的直接互酬性を説明せよ。 |
第2回 | タグによる共同体システム~ネーション(国民)という現象~ | タグへの信頼の発生(内集団びいき)を説明せよ。 |
第3回 | 朝貢による防衛システム~ステーツ(国家)という現象~ | 朝貢と防衛の相互依存の発生を説明せよ。 |
第4回 | 共助社会の兆し~クラウドファンディングの計算社会科学的理解 | クラウドファンディングのメカニズムを説明せよ。 |
第5回 | 共助社会の兆し~ソーシャル・ビジネスを俯瞰する | ソーシャル・ビジネスの事例を集め、整理せよ。 |
第6回 | 共助社会の兆し~ソーシャル・ビジネスのジレンマ | ソーシャル・ビジネスのビジネスモデルを記述し、直面する課題を抽出せよ。 |
第7回 | 共助社会の兆し~ソーシャル・ビジネスをデザインする | 新しいソーシャル・ビジネスを企画せよ。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
なし
参考書、講義資料等
講義資料はT2SCHOLAか授業中の配布により与える。
柄谷行人「世界史の構造」岩波書店
成績評価の方法及び基準
授業中のディスカッションへの参加が望まれる。また、DAY毎にレポートを提出してもらう。特に、DAY3では、社会システム科学の観点から、ソーシャル・ビジネスを構想してもらう。成績評価は、授業中のQ/Aとレポートをそれぞれ評価し、40%、60%の重みで統合して、総合評価する。
関連する科目
- LAH.S437 : 文系エッセンス42:合意形成学
履修の条件・注意事項
社会や歴史に対する興味があることが望ましい。
連絡先 (メール、電話番号) ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。
中井 豊(なかい ゆたか)、nakai.yutaka0[at]gmail.com
その他
当講義は理学の内容を含む。
※※※3日間とも、対面授業を行う。
この科目は、修士課程500番台の文系教養科目です。
東工大では、学士から博士後期課程まで継続的に教養科目を履修する「くさび型教育」を実践しています。番台順に履修することが推奨されており、修士課程入学直後の学期(4月入学者であれば1・2Q、9月入学者であれば3・4Q)に履修申告できる文系教養科目は400番台のみです。500番台文系教養科目は、入学半年してから(4月入学者であれば入学した年の3・4Qから、9月入学者であれば入学した翌年の1・2Qから)履修可能となります。