トップページへ

2022年度 H27年度以前入学者向け 理学部 数学科

数学特殊講義B

開講元
数学科
担当教員
大矢 浩徳 / 内藤 聡
授業形態
講義 (対面型)
メディア利用科目
-
曜日・時限
(講義室)
集中講義等 (本館2階数学系201セミナー室)
クラス
-
科目コード
ZUA.E332
単位数
200
開講時期
2022年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2025年7月10日
使用言語
日本語

シラバス

授業の目的(ねらい)、概要

  本講義の主要なテーマは量子アフィン代数の有限次元表現論である.量子アフィン代数とはアフィンリー環と呼ばれる無限次元リー環の普遍包絡環の q-類似と見られるホップ代数であり,その有限次元表現については 1980 年代中頃からこれまでに非常に多くの研究がなされている.しかし,量子アフィン代数の有限次元表現らは複雑で面白い構造を持っており,今もなお基本的な未解決問題が残っていたり,新しい構造が発見されているような状況である.本講義では今もなお難しい問題の中から特に既約表現の q-指標を求めるという問題に着目し,基本的な事項から現在研究が行われている内容までの解説を行う.
  本講義前半のねらいは,量子アフィン代数の有限次元表現論において現在ではよく知られている内容(最高ウェイト理論,q-指標,Kazhdan-Lusztig アルゴリズムによる既約 q-指標の計算等)を通して,表現論において頻繁に現れる考え方を解説することにある.本講義の後半では,Fomin-Zelevinkyによって導入されたクラスター代数の量子アフィン代数の表現論への応用,および異なる Dynkin 型の量子アフィン代数の表現論の間の類似性等,既約表現の q-指標の計算に関連して現在も研究が行われている内容の解説を行う.また,時間が許せば量子アフィン代数の Borel 部分代数,シフトされた量子アフィン代数といった量子アフィン代数から派生して現在も研究が行われている代数の表現論について解説をする.これらを通して,現在の本分野の研究の様子の一端に触れていただくことが本講義後半のねらいである.

到達目標

・量子アフィン代数の有限次元既約表現の分類の結果を理解する
・量子アフィン代数の有限次元表現の q-指標の定義を理解する
・量子 Grothendieck 環の構成,および量子 Grothendieck 環における Kazhdan-Lusztig アルゴリズムの手続きを理解する
・クラスター代数の量子アフィン代数の表現論への応用を理解する

キーワード

量子アフィン代数, q-指標, 量子 Grithendieck 環, Kazhdan-Lusztig アルゴリズム, クラスター代数

学生が身につける力

  • 専門力
  • 教養力
  • コミュニケーション力
  • 展開力 (探究力又は設定力)
  • 展開力 (実践力又は解決力)

授業の進め方

通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.

授業計画・課題

授業計画 課題
第1回 量子アフィン代数の有限次元既約表現の分類 1 講義中に指示する
第2回 量子アフィン代数の有限次元既約表現の分類 2 講義中に指示する
第3回 量子アフィン代数の有限次元表現の q-指標 1 講義中に指示する
第4回 量子アフィン代数の有限次元既約表現の分類 2 講義中に指示する
第5回 量子アフィン代数の有限次元表現圏の量子 Grothendieck 環の様々な構成 1 講義中に指示する
第6回 量子アフィン代数の有限次元表現圏の量子 Grothendieck 環の様々な構成 2 講義中に指示する
第7回 量子 Grothendieck 環における Kazhdan-Lusztig アルゴリズム 1 講義中に指示する
第8回 量子 Grothendieck 環における Kazhdan-Lusztig アルゴリズム 2 講義中に指示する
第9回 クラスター代数の量子アフィン代数の表現論への応用 1 講義中に指示する
第10回 クラスター代数の量子アフィン代数の表現論への応用 2 講義中に指示する
第11回 クラスター代数の量子アフィン代数の表現論への応用 3 講義中に指示する
第12回 異なる Dynkin 型の量子アフィン代数の表現論の間の類似性 1 講義中に指示する
第13回 異なる Dynkin 型の量子アフィン代数の表現論の間の類似性 2 講義中に指示する
第14回 量子アフィン代数の Borel 部分代数, シフトされた量子アフィン代数の表現論 1 講義中に指示する
第15回 量子アフィン代数の Borel 部分代数, シフトされた量子アフィン代数の表現論 2 講義中に指示する

準備学修(事前学修・復習)等についての指示

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

特になし

参考書、講義資料等

T. Nakanishi: Cluster Algebras and Scattering Diagrams, Part I: Basics in Cluster Algebras; arXiv:2201.11371

成績評価の方法及び基準

レポート課題(100%)による

関連する科目

  • MTH.A201 : 代数学概論第一
  • MTH.A202 : 代数学概論第二
  • MTH.A203 : 代数学概論第三
  • MTH.A204 : 代数学概論第四
  • MTH.A301 : 代数学第一
  • MTH.A302 : 代数学第二

履修の条件・注意事項

代数学における基本事項を修得している事が望ましい.