2025年度 (最新) 学位プログラムとして特別に設けた教育課程 学位プログラムとして特別に設けた教育課程 エネルギー・情報卓越教育課程
エネルギー計算化学演習
- 開講元
- エネルギー・情報卓越教育課程
- 担当教員
- MANZHOS SERGEI
- 授業形態
- 演習
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - クラス
- -
- 科目コード
- ENI.I402
- 単位数
- 010
- 開講時期
- 2025年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2025年3月19日
- 使用言語
- 英語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
この講義では、太陽電池や燃料電池、蓄電池などの再生可能エネルギーデバイスに用いられる機能性材料のメカニズム的な洞察を得るために必要となる、計算材料科学における手法やツールについて概説する。特に、密度汎関数理論(DFT)ベースでの材料モデリングに焦点を当て、バンド構造、分子吸着やイオン伝導、振動スペクトルなどの重要な現象を対象とする。学生はDFT手法やソフトウエアを用いてシミュレーションを実行する方法ついても学ぶ。本講義では以下のトピックを含む
1) 太陽電池、燃料電池、蓄電池などの技術に用いられる機能性材料における特性や現象のまとめ。これらの現象のモデリングが機能性材料の理解と設計において重要であることへの理解。
2) Ab initio (第一原理)観点の導入とそれらから派生する電子構造や力場(フォースフィールド)ベースのさまざまな計算手法の概説。これらの手法が計算可能、および計算不可能な特性についての理解。
3) 材料モデリングにむけたDFTソフトウエアの導入。構造最適化や、拡散バリア、バンド構造、吸着特性、光学特性、振動特性、などへ向けたDFT計算の概説。
4) 固体状態イオン伝導体材料や不均一触媒においてDFT計算から得られるメカニズム的な洞察の理解。
学生は自分自身のコンピューター又はスーパーコンピュータにおいて、マスタークラス形式による演習を行う。
この科目はDFT理論の知識に基づくので、学生は、関連する理論的背景コースを受講済みか、同時に受講するか、または独自に理論に関する文献を読むことが推奨されます。
このコースは最大40名の学生が受講でき、エネルギー・情報卓越教育院の学生は優先的に受講することができる。
到達目標
材料科学分野や再生可能エネルギーの発電・蓄電技術における材料モデリングの役割を理解する。基礎的なDFT計算に関する知識を習得する。DFT計算ソフトの使い方、およびそれらを用いた機能性材料における重要な特性の計算から機構的な洞察を得る方法について学ぶ。
キーワード
密度汎関数理論(DFT)、機能性材料、光学特性、振動特性、輸送特性、再生可能エネルギー
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
全て大岡山にて開講され、大岡山キャンパスの学生は原則対面、その他キャンパスの学生はオンラインである。それぞれの授業1回100分は講義(授業時間の1/3~1/2程度)・演習(1/2~2/3程度)・フィードバック(おおよそ15分程度)で構成される。講義のほとんどはマスタークラスとして展開される(教授がコンピューター上で行った手順を学生が繰り返すことになる)。演習は講義中に導入された手法・計算ツールを用いて、材料特性を計算することを含む。それぞれの講義中にクイズが実施され、それらの結果からのフィードバックに基づき、学生の授業への理解度を測ると同時に、教授による授業内容の調整が行われる予定である。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 太陽電池や燃料電池、蓄電池などの技術に用いられる機能性材料における重要な特性や現象についての概要。機能性材料の理解、および設計にむけてこれらの現象をモデリングすることの重要性を理解する。Ab initio(第一原理)の観点を導入し、Ab initioや力場(フォースフィールド)などの特定のモデリング手法が生まれるのかの説明。これらの手法が計算可能、または計算不可能な事象の概説。 DFTソフトや、関連する材料モデリングにおけるGUIソフトの導入。Linux環境、スーパーコンピュータの使い方について基本的な説明。Quantum Espressoの計算のインプット、計算ジョブの送信と管理手順。 | 学生は、幾つかの技術(燃料電池、太陽電池、蓄電池)と材料特性との関連性について学ぶ。実験に基づく理解の限界、および特性計算(分子吸着、光学特性、バンドエッジ、振動特性、電荷、イオン伝導特性など)の役割と必要性についても学ぶ。どのような特性が電子構造レベルでモデリングできるのか理解する。 スーパーコンピュータ又はパソコンでの計算ジョブ管理うを理解する。DFT計算のためのインプットを準備する方法を理解する。 |
第2回 | エネルギー又は構造の最適化のDFT計算 | 材料モデルのエネルギー又は構造の最適化のDFT計算インプットの準備、計算結果の分析の仕方を理解する |
第3回 | バンド構造の計算 | バンド構造の計算のDFT計算インプットの準備、計算結果の分析の仕方を理解する。それに基づく材料又はデバイスパフォーマンスについてメカニズム的に理解する方法を理解する |
第4回 | 光吸収スペクトルの計算 | 光吸収スペクトルのDFT計算インプットの準備、計算結果の分析の仕方を理解する。それに基づく材料又はデバイスパフォーマンスについてメカニズム的に理解する方法を理解する |
第5回 | 振動スペクトル又はフォノンの計算 | 振動スペクトル又はフォノンの計算インプットの準備、計算結果の分析の仕方を理解する。それに基づく材料又はデバイスパフォーマンスについてメカニズム的に理解する方法を理解する |
第6回 | 表面又は界面の特性の計算 | 表面上の分子の吸着など界面特性のDFT計算のインプットの準備、計算結果の分析の仕方を理解する。それに基づく材料又はデバイスパフォーマンスについてメカニズム的に理解する方法を理解する |
第7回 | 拡散特性の計算 | 拡散バリアのDFT計算のインプットの準備、計算結果の分析の仕方を理解する。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
Density Functional Theory: A Practical Introduction, David S. Sholl, Janice A. Steckel, Wiley 2023, ISBN: 978-1-119-84086-2
参考書、講義資料等
T2SCHOLAにより都度配布する。
成績評価の方法及び基準
クイズ、及び計算課題により評価する
関連する科目
- CAP.O304 : 計算分子化学(構造有機化学)
- CAP.N306 : 計算材料化学
- ESI.B431 : 燃料電池・太陽電池・蓄電電池・エネルギーシステムの最新技術
- ENI.I401 : エネルギービッグデータ科学演習
履修の条件・注意事項
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