2023年度 学院等開講科目 物質理工学院 応用化学系
応用化学実験第三
- 開講元
- 応用化学系
- 担当教員
- 吉川 史郎 / 田中 克典 / 斎藤 礼子 / 大川原 真一 / 森 伸介 / 田中 健 / 山中 一郎 / 芹澤 武 / 中薗 和子 / 木村 健太郎 / 小玉 聡 / 齊藤 彰吾 / 神戸 徹也 / 永島 佑貴 / 渡邊 健太 / 山本 雅納 / 久保 智弘 / 劉 浩男 / 井戸田 直和 / 高橋 明 / 本間 千裕 / 秦 裕樹
- 授業形態
- 実験等 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 月5-8 (大岡山西4号館実験室,大岡山南1号館実験室,大岡山南実験棟4,WL1-401(W541)) / 火5-8 (大岡山西4号館実験室,大岡山南1号館実験室,大岡山南実験棟4,WL1-301(W531))
- クラス
- -
- 科目コード
- CAP.F301
- 単位数
- 002
- 開講時期
- 2023年度
- 開講クォーター
- 1Q
- シラバス更新日
- 2025年7月8日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
[実験の概要] 本実験では、応用化学実験第一、第二を履修してきた学生を対象に、化学工学、有機化学、電気化学、高分子化学に関する実験を実施する。実験テーマは以下の6つである。(1)「流動」では、円管内流体の流動に伴う運動量移動を題材とし、流体中の移動現象を解析するための基礎的な考え方を習得する。(2)「熱の流れ」では、二重管式熱交換器を用いて、熱収支、伝熱量、流体間の平均温度差、無次元数、伝熱係数の概念を学ぶ。(3)「有機反応」では、カルボニル化合物の求核置換反応を通して、有機合成反応の典型的な仕込み、後処理等の操作手順を学ぶ。(4)「電気化学反応」では、電極電位とサイクリックボルタモグラム測定から、電気化学における化学平衡および速度論的概念を習得する。(5)「付加重合」では、ビニル系モノマーのラジカル重合を行い、高分子の付加重合の方法、重合原理、分子量制御、解析方法の基礎的な考え方を習得する。(6)「重縮合」では、開環重付加としてポリピロメリイミドの合成と界面重縮合としてナイロン-6,10の合成を行い、ポリマーの構造と熱的安定性の関係を理解する。
[実験のねらい] 化学工業上重要な操作や反応を理解するためには、実際に実験を行い、その結果を自分自身で考察することが必要である。本実験では、応用化学実験第二に引きつづき、化学工学、有機化学、電気化学ならびに高分子化学の基本操作、反応の体験を通じて、応用化学の基礎知識と実験研究方法を身につける。
到達目標
本実験を履修することによって、
(1) 化学工学、有機化学、電気化学ならびに高分子化学の基礎概念を修得できる。
(2) 化学工学、有機化学、電気化学ならびに高分子化学実験の基礎的技術を習得できる。
(3) 実験結果、考察、調査した内容を一般的なレポートの形にまとめることができる。
キーワード
(流動)レイノルズ数、層流、乱流
(熱の流れ)熱交換器、伝熱係数、ヌッセルト数
(有機反応)求核置換反応、カルボニル化合物、収率
(電気化学反応)電極電位、化学平衡、サイクリックボルタンメトリー
(付加重合)ラジカル重合、分子量制御、重合度
(重縮合)環化重付加、界面重縮合、赤外吸収スペクトル
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
本実験では、化学工学、有機化学、電気化学、高分子化学に関する6つの実験テーマ(1) 流動、(2) 熱の流れ、(3) 有機反応、(4) 電気化学反応、(5) 付加重合、(6) 重縮合が用意されている。学生はその中から4つのテーマを選択して履修する。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 流動①:助走区間流れの数値計算/熱の流れ①:二重管式熱交換器(並流操作) | 助走区間の取り扱いを習得できる。 熱交換器の構造を習得できる。 |
第2回 | 流動②:瞬間的に運動を始めた平板上の流れ/熱の流れ②:二重管式熱交換器(向流操作) | 非定常流れの解を習得できる。 向流操作の式を習得できる。 |
第3回 | 流動③:流量測定法に関する実験/熱の流れ③:対流伝熱現象の数値解析 | 流量測定法を習得できる。 対流伝熱の解析を習得できる。 |
第4回 | 流動④:オリフィス周りの流れの数値計算/熱の流れ④:熱交換器内伝熱現象の数値解析 | オリフィス流れの解析法を習得できる。 伝熱の数値解析を習得できる。 |
第5回 | 有機反応①:カルボニル化合物の性質/電気化学反応①:電気化学測定法 | 有機反応の操作を習得できる。 電気化学測定法を習得できる。 |
第6回 | 有機反応②:エステルの加水分解反応/電気化学反応②:標準酸化還元電位 | 加水分解反応の操作を習得できる。 電気化学反応の機構を習得できる。 |
第7回 | 有機反応③:脱炭酸反応/電気化学反応③:酸化還元反応 | 脱炭酸反応の機構を習得できる。 酸化還元反応の原理を習得できる。 |
第8回 | 有機反応④:速度論的および熱力学的支配/電気化学反応④:電気化学反応の応用 | 反応速度論の式を習得できる。 電気化学反応の応用を習得できる。 |
第9回 | 付加重合①:メタクリル酸メチルのラジカル重合 | ラジカル重合の機構、素反応の原理を習得できる。 |
第10回 | 付加重合②:粘度測定法による粘度分子量測定 | 粘度平均分子量をMark-Howink式より算出する方法を習得できる。 |
第11回 | 付加重合③:GPCによる平均分子量測定と末端基数の決定 | GPC測定より、数、および重量平均分子量、分子量分布(MwMn)を決定する方法を習得できる。 |
第12回 | 付加重合④:生成物の特性解析と連鎖移動定数の決定/重縮合①:ポリアミド酸の合成 | 連鎖移動の定数の決定法を習得できる。 重縮合の手法が習得できる。 |
第13回 | 重縮合②:ポリアミド酸の特性解析とナイロン-6,10の合成 | FT-IRによる高分子の特性付けが習得できる。 界面重縮合の手法が習得ができる。 |
第14回 | 重縮合③:ポリアミド酸からのポリピロメリイミドの合成と各ポリマーの特性解析, 熱安定性試験 | 重縮合、高分子の熱安定性測定法を習得できる。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね50分を目安に行うこと。
教科書
教科書「応用化学実験第三」東京工業大学物質理工学院応用化学系編
初回ガイダンスの前に生協で購入すること。
参考書、講義資料等
R.B.Bird, W.E. Stewart, E.N. Lightfoot, "Transport Phenomena", Wiley, 2002, ISBN 0-471-41077-2
藤田重文「化学工学演習」東京化学同人,1979, ISBN 978-4807900282
J. McMurry著、伊東、児玉、荻野、深澤、通 訳「マクマリー有機化学(中)」第8版(東京化学同人)ISBN: 978-4807908103
渡辺正 他「電気化学」丸善, 2009, ISBN 978-4621081129
高分子学会編「基礎高分子科学」(東京化学同人)ISBN-13: 978-4807906352
成績評価の方法及び基準
各テーマで提出されたレポートの内容に基づいて評価する。
遅刻や課題の未提出を繰り返した場合は不合格とすることがある。
関連する科目
- CAP.C201 : 移動現象第一(運動量移動)
- CHM.D202 : 有機化学第二
- CAP.P211 : 高分子化学第一(逐次重合)
- CAP.P212 : 高分子化学第二(連鎖重合)
履修の条件・注意事項
応用化学実験第一a/b,b/a(CAP.B201.R, CAP.B202.R)および応用化学実験第二a/b,b/a(CAP.B203.R, CAP.B204.R)を修得していること。