2023年度 学院等開講科目 物質理工学院 応用化学系
高分子工学実験第一
- 開講元
- 応用化学系
- 担当教員
- 小西 玄一 / 戸木田 雅利 / 芹澤 武 / 大塚 英幸 / 斎藤 礼子 / 黒川 成貴 / 劉 浩男 / 梁 暁斌 / 秦 裕樹
- 授業形態
- 実験等 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 月5-8 (S4-202(S422), W4-301実験室) / 火5-8 (S4-202(S422), W4-301実験室)
- クラス
- -
- 科目コード
- CAP.P361
- 単位数
- 002
- 開講時期
- 2023年度
- 開講クォーター
- 3Q
- シラバス更新日
- 2025年7月8日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
本実験では、高分子工学実験第二とあわせて計4つのテーマについて実験を行う。第一で扱うテーマは以下の2つである。テーマA:X線回折、テーマD:導電性高分子。
本実験では,高分子科学を専門とするために必要な実践的な技術を学ぶ化学実験として必須であり、高分子結晶構造、高分子の相転移,溶液およびゲル物性,および電気的特性の基礎を理解して,X線回折をはじめとする種々の構造物性解析の技術を身につけることを目的とする。また、実験データの整理と,口頭発表およびレポート形式による報告を行い,研究課題を全体的にまとめる能力を養う。
到達目標
本実験を履修することで次の能力を修得する。
テーマA:1) X線回折の基礎を理解し,粉末回折計を用いた回折パターンの測定ができる.
2) 簡単な結晶系(立方晶,六方晶)の回折データを解析できる.
3) X線回折から結晶性高分子の微結晶サイズと結晶化度を決定できる.
テーマD:1)共役高分子の導電性の原理を理解し、電気伝導度測定装置を用いた測定ができる。
2)電解重合の機構を理解し、重合条件と得られたフィルムの導電性の関係を説明できる。
3)共役高分子の分子構造を理解し、ソルバトクロミズム及びサーモクロミズム の発現原理を説明できる。
キーワード
X線回折、結晶格子、ミラー指数、構造因子、結晶化度、結晶サイズ、共役高分子、電気伝導度、電解重合、ソロバトクロミズム、サーモクロミズム
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
本実験は、初回の「全体説明と各テーマ説明」のあと、前半第2回~8回と後半9回~15回の2部に分けて行う。前・後半とも受講者をクラス分けし、テーマAは全体の1/2、テーマDは1/2から構成される。前半でテーマAのものは後半はテーマDに組み分けされる。逆も同様である。下記の授業計画はテーマAからスタートする場合について記載されているが、Dからスタートする場合は、2回以降の前半と後半は入れ替わる。実験第二においてテーマBとテーマCに組み分けされるので、必ず4テーマすべて行うこととなる。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 全体説明とテーマ説明 | 実験の目的と各テーマの理論背景を理解する。 |
第2回 | テーマA.立方晶系試料の測定 | 立方晶系結晶のX線回折測定を行う. |
第3回 | テーマA.立方晶の結晶構造解析 | 立方晶系結晶のX線回折データを解析し,格子定数を決定する. |
第4回 | テーマA.六方晶系試料の測定と結晶構造解析 | 六方晶系結晶のX線回折測定を行い,取得したデータの解析から格子定数を決定する.立方晶系結晶のX線回折データを解析し,格子定数を決定する. |
第5回 | テーマA.そのほかの晶系試料の測定および格子定数の精密決定 | X線回折測定による未知試料の同定を行う.第4回までの回折データから格子定数の精密決定を行う. |
第6回 | テーマA.結晶性高分子の回折測定と格子定数の決定 | X線回折測定により結晶性高分子の格子定数の決定を行う. |
第7回 | テーマA.X線回折による高分子の微結晶サイズと結晶化度の決定 | X線回折データから高分子結晶の微結晶サイズと結晶化度の決定を行う. |
第8回 | テーマA.データ整理/口頭試問 | X線回折データの整理法と解析方法を習得し,実践する.口頭試問により達成度を確認する. |
第9回 | テーマD.共役系高分子の合成とその電気的特性‐ピロールの電解重合 | 所定の条件に従い、ピロールの電重合を行う |
第10回 | テーマD.電気伝導度の測定 | 第9回で合成したポリマーを回収し、電気伝導度測定を行う。 |
第11回 | テーマD.条件の異なるピロールの電解重合と電気伝導度測定 | 異なる重合条件でポリピロールを合成し、電気伝導度を測定する。また、得られたポリマーの脱ドーパント実験を行う。 |
第12回 | テーマD.デシルチオフェンの重合とモノマーの特性解析 | デシルチオフェンの酸化重合と各種スペクトル(NMR、IR)解析を行う。 |
第13回 | テーマD.デシルチオフェンポリマーの精製 | 第12回で合成したポリマーの回収を行い、その重合挙動を理解する。 |
第14回 | テーマD.ソルバトクロミズムとサーモクロミズムの観察 | 第12回で重合したポリマーのUV–visスペクトル測定を行い、ソルバトクロミズム、サーモクロミズム挙動を観察する。 |
第15回 | テーマD.口頭発表 | 口頭発表により共役高分子の構造と電気的特性に関する理解の達成度を把握する。 |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね50分を目安に行うこと。
教科書
高分子工学実験テキスト
参考書、講義資料等
特になし
成績評価の方法及び基準
実験結果の口頭試問および口頭発表と提出レポートで成績を評価する。
関連する科目
- CAP.P362 : 高分子工学実験第二
- CAP.P211 : 高分子化学第一(逐次重合)
- CAP.P221 : 高分子物理第一(溶液物性)
- CAP.P212 : 高分子化学第二(連鎖重合)
- CAP.P311 : 高分子化学第三(高分子反応)
- CAP.P312 : 高分子化学第四(架橋反応)
- CAP.P222 : 高分子物理第二(固体構造)
- CAP.P321 : 高分子物理第三(レオロジー)
- CAP.P322 : 高分子物理第四(応用物性)
履修の条件・注意事項
応用化学実験第一、第二、第三を履修していること。