2023年度 学院等開講科目 物質理工学院 材料系
無機量子化学
- 開講元
- 材料系
- 担当教員
- 松下 伸広 / 山口 晃
- 授業形態
- 講義 (対面型)
- メディア利用科目
- -
- 曜日・時限
(講義室) - 火5-6 (S7-201、情報ネットワーク演習室1,2) / 金5-6 (S7-201、情報ネットワーク演習室1,2)
- クラス
- -
- 科目コード
- MAT.C201
- 単位数
- 200
- 開講時期
- 2023年度
- 開講クォーター
- 4Q
- シラバス更新日
- 2025年7月8日
- 使用言語
- 日本語
シラバス
授業の目的(ねらい)、概要
すべての元素を対象とする無機化学の特質と基礎知識の習得を目的とする.前半では,量子化学計算手法について,汎用ソフトウェアを用いながら手法の基礎について講義し,いくつかの無機化合物の計算を行いながら,手法の与える情報についての理解を深め,無機化合物の構造や性質が発現される原理について説明を与える.後半では,周期表と化学結合を基盤とした元素,化合物の比較と各論を講義し,セラミックスの科学と工学の基礎を与える.
到達目標
本授業を履修することにより、以下の知識を身に着けられることを目標とする。
量子化学計算手法の考え方と計算の実際について学習する。
種々の計算を実施し、結果と観測データとの比較を通して量子化学計算の意味を理解する。
量子化学計算の有用性と可能性について理解を深める。
周期表に現れる種々の元素についてその特徴を電子構造から理解する。
種々の元素が含まれる無機化合物の特徴とその性質について知識を得る。
無機化合物の持つ元素、構造の多様性の起源についての知識を得る。
キーワード
量子化学計算 化学結合 第一原理計算(ハートリーフォック法) 分子軌道
学生が身につける力
- 専門力
- 教養力
- コミュニケーション力
- 展開力 (探究力又は設定力)
- 展開力 (実践力又は解決力)
授業の進め方
無機化学について、前半後半の2部に分けて学習する。
前半では、無機化合物に現れる化学結合に関する知識について、量子化学計算ソフトを利用した実習を行いながら理解を深める。回毎に設定した学習対象について、解説と課題計算実習を組み合わせながら進めていく。
後半では、前半で学んだ持つ様々な軌道や化学結合に関する知識を確認すると共に、無機物質が持つ様々な組成、結晶構造およびそれらによってもたらされる物性について学ぶ。
授業計画・課題
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 量子化学計算はじめ | シュレーディンガー波動方程式 原子軌道 固有エネルギー 量子数 |
第2回 | 量子化学計算ってなにをやっているの? | 多体問題 一体近似 ハートリーフォック法 LCAO係数 つじつまの合う場の方法 スレーター則 |
第3回 | 二原子分子への展開 | 原子軌道 分子軌道 基底関数 スレーター関数とガウス関数 |
第4回 | 分子の形を決める要因 | 分子軌道 混成 非共有電子対 |
第5回 | 原子核位置はどこにあるのか? | 構造最適化 初期配置 振動解析 分子振動 振動エネルギー 振動モード 赤外吸収 ラマン散乱 |
第6回 | 電荷、双極子モーメント、水和 | マリケン電荷密度 双極子モーメント |
第7回 | 分光法(キャラクタリゼ―ション)との対応 | 軌道エネルギー 仕事関数 光電子スペクトル |
第8回 | 水素:性質と化学反応 | 遷移状態 化学反応 |
第9回 | アルカリ元素の化学 | アルカリイオンと化合物 |
第10回 | アルカリ土類元素の化学 | アルカリ土類イオンと化合物 |
第11回 | 非金属元素の化学1 | ホウ化物ほか |
第12回 | 非金属元素の化学2 | 高次のボランほか |
第13回 | 非金属元素の化学3 | 炭素化合物、シリコンほか |
第14回 | 窒素の化学、酸素の化学 | 窒化物、酸化物ほか |
準備学修(事前学修・復習)等についての指示
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書
シュライバー・アトキンス「無機化学(上、下)」 東京化学同人(参考用)および授業中に配布する資料
参考書、講義資料等
『無機化学』 斉藤太郎著 岩波書店
『無機化学』 平尾一之・田中勝久・中平敦著 東京化学同人
『詳説 無機化学』 福田豊ら 講談社サイエンティフィック
成績評価の方法及び基準
出席点,講義中に行う課題・小テストおよび期末試験で評価する.
関連する科目
- MAT.C302 : 分光学
- MAT.A203 : 材料量子力学
履修の条件・注意事項
量子力学、基礎無機化学に関する授業を履修していることが望ましい。