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2023年度 H27年度以前入学者向け 理学部 物理学科

量子力学演習第三

開講元
物理学科
担当教員
足立 聡 / 横山 毅人
授業形態
演習 (対面型)
メディア利用科目
-
曜日・時限
(講義室)
月7-8 (M-B107(H104))
クラス
-
科目コード
ZUB.Q314
単位数
010
開講時期
2023年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2025年7月8日
使用言語
日本語

シラバス

授業の目的(ねらい)、概要

量子力学の基礎および発展的問題を扱う。さまざまな系や手法を扱いながら、多体系等の複雑な系が本質的に新しい量子力学的性質をもたらすことを見る。扱う系は非線形の系、時間依存系、多体系(Bose、Fermi、スピン系)等、扱う方法は摂動論、場の量子化、変分法、密度演算子等である。
演習問題を解くことによって、さまざまな手法を習得し簡単には解けないさまざまな量子力学系の性質を調べられるようになることを目標とする。

到達目標

(1) 摂動論を用いて具体的な系の解析(エネルギー準位や波動関数の補正等)を行える
(2) 場の量子化の方法を理解して、多体系において粒子が生成・消滅する過程を扱った簡単な計算ができる
(3) 多体系特有の性質の効果の度合いを問題に応じて具体的に評価できるようになる

キーワード

摂動,同種粒子,場の量子化,変分法,密度演算子,量子もつれ

学生が身につける力

  • 専門力
  • 教養力
  • コミュニケーション力
  • 展開力 (探究力又は設定力)
  • 展開力 (実践力又は解決力)

授業の進め方

毎週問題を配布し、それをレポートとして提出してもらう。また代表者に発表を行ってもらい内容について議論を行う。

授業計画・課題

授業計画 課題
第1回 概要 (さまざまな近似手法,粒子の非識別性から導かれるもの,場の量子化とは何か,多体効果とはどのようなものか) 近似手法の意義および場の量子化とは何をするものなのか説明せよ
第2回 定常状態の摂動論(1) (摂動展開の方法,縮退のないときの摂動公式,簡単な計算例) 調和振動子の系に摂動がかかったときのエネルギー準位と波動関数の補正を計算せよ
第3回 定常状態の摂動論(2) (摂動の一般的性質,近似の成立条件,準位動力学) 摂動論によって計算される補正項の一般的な性質を説明せよ
第4回 定常状態の摂動論(3) (縮退のあるときの摂動公式,多自由度系への応用例) 縮退のあるときの摂動公式がないときと比較してどのように変更されるのか説明し、簡単な例で具体的な計算を行え
第5回 時間に依存する摂動 (相互作用描像,時間に依存する系の摂動公式,Fermiの黄金律) 時間依存摂動の典型的な問題において補正項を計算しその物理的意味を説明せよ
第6回 原子による光の吸収・放出 (空洞放射,Planckの公式,自発放射,誘導放射,Einstein係数,選択規則) 摂動論を用いてEinstein係数を計算せよ
第7回 時間に依存する系 (時間周期系,動的不変量) 周期的なハミルトニアンの系におけるSchroedinger方程式を解を構成せよ
第8回 断熱近似 (断熱状態,Landau-Zener遷移,幾何学的位相) 時間的にゆっくり変動するハミルトニアンにおいてSchroedinger方程式の近似解を計算せよ
第9回 多体系の量子力学(1) 同種粒子 (同種粒子の統計,Bose/Fermi統計,波動関数の対称/反対称性) 同種粒子による効果がPauliの排他律やBose-Einstein凝縮をもたらすことを説明せよ
第10回 多体系の量子力学(2) 場の量子化 (生成消滅演算子,場の量子化) 生成消滅演算子を用いることによって量子力学のどのような性質を説明できるか説明せよ
第11回 多体系の量子力学(3) Bose/Fermi粒子系への応用 (ヘリウム原子,Bose-Einstein凝縮,Hubbard模型) 多体系の量子力学的状態がもつ一般的な性質とはどのようなものか
第12回 多体系の量子力学(4) スピン系への応用 (磁性体,Heisenberg模型) 簡単なスピン多体系の基底状態を求め、それが古典的な描像とは異なっていることを説明せよ
第13回 変分法 (変分法の一般論,Hartree/Hartree-Fock近似,平均場近似) 多体系における平均場近似とはどのようなものか説明せよ
第14回 密度演算子 (純粋状態,混合状態,von Neumann方程式,Blochベクトル) 純粋状態および混合状態の違いを説明せよ
第15回 量子もつれ (複合系の分解,縮約密度演算子,Bellの不等式とその破れ) 古典系にはない多体量子系特有の性質を説明せよ

準備学修(事前学修・復習)等についての指示

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

特になし

参考書、講義資料等

参考書: J.J. Sakurai 「現代の量子力学」(吉岡書店)等

成績評価の方法及び基準

レポート(50%)および発表(50%)。レポートは計算が正しく行われているか、記述が論理的であるかを見る。発表はわかりやすい発表ができているか、質問に適切にこたえているかで評価する。

関連する科目

  • ZUB.Q204 : 量子力学第一
  • ZUB.Q206 : 量子力学第二
  • ZUB.S310 : 熱・統計力学第二

履修の条件・注意事項

量子力学第一・第二を履修済みであること